行列好きは、お祭り好き

勝手に架空の女に私自身の嗜好を憑依させて寸劇を描いてしまったが、ここで示したもの以外にも、私が行列を厭わない人間と相いれない部分はいくらでも見出すことができる。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Maxiphoto)

まず、行列好きはお祭り好きなのである。だからハロウィーンやらクリスマスやら誕生日やら「交際がスタートした日」やら、何かと記念日や季節行事にこだわり、余計なことをやりたがる。対して、私は記念日なんてどうでもいいと思っており、自分の誕生日にもまったくこだわりがない。

さらに、行列が好きな人間はたいてい、インスタグラムやツイッター、フェイスブックなどに写真を投稿するのも大好きだ。何でも写真に残しておきたい、SNSに投稿したいというなら勝手にすればいいが、私にはまったくそうした嗜好がないので、正直、共感できない場面も多い。

“合わない相手”を無理に理解しなくてもいい

「ただの偏見だ」「それはオマエの嗜好だろ」などと非難する声が聞こえてきそうだが、そのとおりだ。これは私の考え方である。そして私が伝えたいのは「行列が好きな皆さんも、行列嫌いの人間とは深く付き合わないでいいよ」「行列を忌み嫌う私のような人間に対して、そちらも偏見を持って構いませんよ」ということだ。

つまり「合わない相手のことを、わざわざ理解しようとしなくてもよい」という、実に合理的な人間関係の基礎を提示しているだけである。価値観の異なる相手と深く付き合おうとしても、お互いに疲れるだけだ。

たとえば「行列が好きか嫌いか」という視点だけでも、実に多様な価値観の相違が顕在化してくる。パッと挙げられるだけでも、以下の4点があるだろう。

・経済感覚が違う
行列好きは、時間の価値よりも「この場の欲求充足」「目先の得」に重きをおいている。こうした刹那的な考え方には共感できない。

・自己顕示欲が強い
行列に並ぶことによって得られる“特別な何か”を誰かに見せびらかしたくて仕方がない。「そんなつもりはないよ!」と言うのであれば、他人を巻き込むな。

・新しいもの好き
新型iPhoneの発売日に行列をつくる人や、PS3の発売初日に有楽町のビックカメラに並んで「モノ売るっていうレベルじゃねぇよ!」とキレて、ネットで話題になった「レベル男」あたりがそうだ。「何週間か待てばいいだろ。そうすれば簡単に手に入るのに」としか思えない。

・旅行で“損得”にこだわる
目先の得に執着するせいか、旅行などに出かけても、とにかく活発に動きたがる。そうしないと「損をした」気分になるらしい。旅行のときくらい、ゆっくりさせてくれ。