政府が「来年4月から運用を始める」と急ぐ背景

10月25日付の社説だけでは主張しきれないと判断したのだろう。朝日新聞は大きな1本社説(29日付)で「外国人労働者 『人』として受け入れよう」との見出しを立てて出入国管理法改正案を「虫のいい政府案」だと批判している。

その社説を少しのぞいてみよう。

「政府は、是が非でも会期中に成立させ、来年4月から運用を始めるとしている。あまりに性急ではないか。法案の中身も生煮えの感が強く、疑問は尽きない。制定ありきで突き進むようなことをすれば、将来に禍根を残す」

多数派の論理だけで法案を通せば、この先、痛い目に遭うのは私たち国民だ。そこを安倍首相には真剣に考えてほしい。

朝日社説は「これまで日本は、外国人の単純労働者を認めない立場をとってきた。だが現実は、知識や技能を習得して母国に持ち帰ることが目的の『技能実習生』や留学生アルバイトが、単純作業を含むさまざまな現場で働く。外国人労働者は128万人と、この5年間で倍増した」と現状を分析したうえで、次のように訴える。

決められた期間だけ働かせる「虫のいい法案」

「外国人に頼らなければ、もはやこの国は成り立たない。その認識の下、同じ社会でともに生活する仲間として外国人を受け入れ、遇するべきだ。朝日新聞の社説はそう主張してきた」

ちょっと待ってもらいたい。本当に日本は外国人に頼らなければ成り立たないのか。たとえば労働力が不足していくなかで、IT(情報技術)やAI(人工知能)、それにロボット技術を駆使していくなどさまざまな方法もあるではないか。

朝日新聞のカラーを考えれば、外国人労働者を大切にしようとするスタンスは分からないでもない。だが、沙鴎一歩はまだ「仲間」としての意識を持つ気までにはなれない。

さらに朝日社説は指摘する。

「国際基準に照らせば移民に他ならない。だが安倍首相は、外国人受け入れに消極的な自民党内の声に配慮してか、『移民政策はとらない』と繰り返す。つまり思い描く労働者像は『単身で来日し、決められた期間だけ働き、そのまま帰国してくれる人』ということになる。ずいぶん虫のいい話ではないか」