――出身大学などの学歴は出世にも影響するのですか。
【金融】大手銀行の場合、採用時は大学別に大体何人と決めており、幅広い大学から採用している。だが、入社後に偉くなる人の出身大学はほぼ固まっています。メガバンクで役員になる人は東大、京大、一橋、慶応以外の人はいないんじゃないですか。実際にメガバンクのトップも東大がほとんど。役員の場合は慶応の派閥があるから一定程度いますが、全体で見ると、役員は旧帝大クラスと早慶ぐらい。今は多様性がないといけないということで1人、2人はそれ以外の大学からも入っている。採用ではほかの私学からもとっていますが、せいぜい小規模支店の支店長か本店の課長ぐらいまで。役員と本部の部長級、大規模店の支店長になる人はどうしても限られているのが実態です。
【流通】うちには東大などトップレベルの大学の学生はめったに入りません。同じ流通でも百貨店なんかは慶応出身者が多いですが。
【IT】うちは基本的に学歴は関係ない。とくに中途採用が多いので、社員も誰がどこの学校出身なのかまったく知りません。何をしてきたかという職歴重視ですから。誰にでもチャンスがあります。
【メーカー】採用の入り口では大学名を意識しても、入社後は基本的に仕事ぶりを見て昇進を決めています。とはいえ、全然関係ないとは言えません。社内世論的なものがあり、たとえば、MARCHクラス以上の大学出身であれば、ああ、あの人がと納得してもらえる雰囲気がある。実力的にも変わらないAさんとBさんのどちらかを上に上げようとした場合は、やはり出身大学が多少影響することはあります。
役員ヘの分岐点 7
容姿、服装、態度……最も重要なのは何か?
――本人の服装などの身だしなみは出世に影響ありますか。顔など容姿が問題になることはないでしょうが。
【金融】服装は最近では自由になったが、銀行員の服装は基本的にダークスーツ。きちんとしていると思われやすい。派手なスーツは目立ってしまうので好まれません。
【メディカル】あるべき論で言えば、人に不快感を与える身なりや服装はダメでしょう。現実はどうかと言えば、寝ぐせをつけて役員会に出ている人もいますがね(笑)。夏になるとボロボロのポロシャツを着てくる役員もたまにいます。
【IT】顔というよりも見た目が貧相な人は損をしますね。本当に自信がなさそうにしゃべる人、元気がまったくないとか、めちゃくちゃ貧乏くさい雰囲気を醸し出す人。しっかりした成功経験がない人にその傾向が強い。一方、偉い人にはそういう人はいない。体つきが貧弱な人でも、結果を出して堂々としている人が出世しています。
ジャーナリスト
1958年、鹿児島県生まれ。明治大学政治経済学部卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。著書に『人事部はここを見ている!』(小社刊)。