【金融】うちはもっと早い。ある頭取は20代のときに周囲から将来の頭取と言われていた。何の特徴もない人だが、バランス感覚は抜群だった。逆に絶対に偉くなれないのはいわゆるKY。空気を読めない人は絶対に無理です。個性派の人でも専門能力があれば課長までは昇進する可能性があるが、そこから先昇進するのが難しい。
【IT】部下を率いるスキルがなかったり、マネジメントができない人は担当課長レベルで終わる人がほとんど。また、部下をもつライン管理職はマネジメント力に加えて一定の専門性がないと部下を率いていくこともできません。部長、役員になっても自分の柱となる専門性は不可欠。専門性が足りないために一担当や担当課長止まりという人がたくさんいます。
――コミュニケーションのうまさ、口が達者なことは昇進するための必須の要件でしょう。どのような差がありますか。
【メディカル】全員がうまいとは限らないですね。この人はどうして役員になれたんだろうと思うほど口下手な人もいる(笑)。だが多くの役員は上手です。立て板に水のように話す人もいれば、何かふにゃふにゃ言っているようなのに、論理はしっかりしていて、ちゃんと上司を説得できるような技量を持っている人もいる。
【メーカー】うちはどこもプレーイングマネジャーが多いからコミュニケーション下手な課長が結構いる。役員の中にも口下手なプレーイング役員もいる(笑)。ただ上にいけばいくほど周囲に対する気遣いが優れている人が多い印象です。短時間勤務の女性、派遣社員に対しても朝は元気に挨拶し、仕事が終わると、ごくろうさん、ありがとうと、ちゃんとねぎらいの言葉を言える人が上に上がっていますね。
【IT】偉くなる人のコンピテンシー(行動特性)としてプレゼン(テーション)がうまいことが必須です。役員の前でのプレゼンがしっかりできる、しかも自分でパワポのスライドも作れる人でなければダメだし、実際にそういう人が偉くなっている。課長でもチームを率いるときに自分の思うところをメンバーにちゃんと伝えられなければ部下はついてこない。最低限のスキルだし、これができないと課長にすらなれません。
【金融】銀行では一般的におしゃべり体質の人は嫌われるが、なかには行内の「三大おしゃべり」と言われた人で、他行の頭取までなった人もいる。もちろん秘密を漏らすような人はダメですが、要するにしゃべる相手をちゃんと見極めて戦略的に話す技量が必要でしょう。