役員ヘの分岐点 5
社内恋愛や不倫、変なウワサが出てないか?

――社内での恋愛はどうでしょう。

【流通】社内に女性も多いし、恋愛だけでなく、不倫も少なくない。ただ、経営トップはそのことにはうるさい。実際に発覚して部長を降格させられた人もいれば、役員の不倫のウワサがトップの耳に入って辞めさせられた人もいます。

【IT】それだけで懲戒はできませんが、発覚すれば注意はします。不倫の場合は、今の奥さんと離婚するなどけじめをつけて、その女性と結婚するのであれば問題にしません。

【メディカル】役員にする場合、必ず身辺調査はします。一番わかりやすいのが過去の懲戒歴のチェック。問題だなと思う人は避ける。ただ外資系企業の身辺調査では男女関係は必ずチェック事項に入っていると聞きますが、日本企業はそうでもないし、緩いかもしれません。男女関係のウワサが多い人が役員になっているというケースはよくある。

【メーカー】不倫が問題をこじらせて騒ぎになれば職場の秩序を乱すことになるので、上に就くことはありません。ウワサレベルで自然に終わったということであれば咎めませんが、過去に何度かウワサになったり、複数の女性と同じウワサを流されたらアウト確定です。

役員ヘの分岐点 6
派閥、学歴、社外人脈。どれが決め手となるか?

――特定の派閥に入ることで出世する人もいます。社内外の人脈を持つことは出世に有利でしょうか。

【金融】大手銀行ではやはり社内の人脈がものを言う。それがなければ上には上がれない。ただ、派閥的なところに入ると、上がこけたら下もこけるので注意が必要です。

【流通】うちは経営トップがすごい権力を持っているから、逆に派閥はつくりにくい。そういう意味では派閥はオーナー派しかない(笑)。

【メディカル】派閥ではなく、社内外に人脈があることは大事です。とくに日本企業は社内のネットワークが重要。直属の上司だけではなく、斜め上の上司との付き合いがあれば、いざというときに頼れるし、引き上げてくれるかもしれない。うちの役員を見ても、社内の人脈は強固です。ただし、社外の人脈は弱い人が多い。でも、これから大事になってくる。これだけビジネスが複雑化していれば自分や社内の知見だけで何かをやることはできません。同業他社など外部の様々な人との人脈が大事になるでしょう。

【メーカー】同期よりも頭一つ抜けるには社外の人脈は必要です。私自身も同じ業界に限らず他社の人事の人と定期的に情報交換していますが、そこで得た情報が仕事に活きたケースはままあります。たとえば人事が役員に向けてプレゼンをする場合、役員から必ず出るのが「業界のほかの会社はどうなっているの」という質問。情報をすぐに聞けるネットワークを築くことで案件を通しやすい。意外にそういう情報を持っていない人が多いし、役員も「あいつに聞けばわかる」という評価をしてくれる。