結婚後も婚活サイトでぬけぬけと「お相手募集」する夫
【“SNS不倫”2:勤務先のフェイスブックに職場不倫を密告】
上原紘一さん(仮名・46歳)は結婚21年目。数年前から夫婦の間でほとんど会話はなく、一緒に出掛けることもない。家のなかで妻(44歳)と顔を合わせないよう恐る恐る廊下や玄関、リビングを通るという典型的な「仮面夫婦」です。
紘一さんには10歳年下の彼女がいます。勤務先の同じ部署の同僚で、妻より彼女のことを愛していて離婚が決まり次第、再婚する約束を交わしています。しかも、妻に対して、彼女の存在を隠そうともしませんでした。妻はそうした夫に謝罪を要求したり、慰謝料を請求したりする一方、関係解消を乞うこともありました。妻にはまだ愛情が少しだけ残っていたのですが、ある日、堪忍袋の緒が切れました。
非常識な行動に打って出たのです。夫と不倫相手の女性が勤務する企業のフェイスブックのページに「○○(夫の名前)と××(彼女の名前)は不倫してるぞ! 即刻クビにしろ!!」と匿名で書き込んだのです。通常、そうした書き込みは信憑性の低いものとして無視されがちですが、2人の勤務先は大手電機メーカー。大企業ほどSNSの対処に慣れていないということなのか、会社の人事部が動くことになりました。
聞き取り調査をされた夫と彼女。顔面蒼白かと思いきや、さにあらず。何も後ろめたい気持ちはないとばかりに、堂々と「(不倫関係は)事実です」と認めたのです。会社側もその開き直りの態度に仰天し、2人に対して子会社への出向を命じました。
紘一さんは出向を命じられることは想定外だったようで、人事部に「離婚の話が進んでいる」「犯人は嫁なんだ!」と慌てて訴え、申し開きをしました。しかし辞令が覆るはずもなく、出向先でも閑職に追いやられ、結局、2人は依願退職をせざるを得なくなったのです。
紘一さんは妻の復讐によって新卒から24年間、勤め続けた会社を追われただけでなく、妻からも三行半をつきつけられました。安定した収入も妻も同時に失ってしまったのです。
【“SNS不倫”3:婚活サイトで夫が婚活続行中】
新垣淳紀さん(仮名・38歳)が彼女(29歳)と知り合ったのは婚活サイト上でのことでした。半年間の交際を経てゴールインしたのですが、結納、結婚式、披露宴、新婚旅行と、幸せの絶頂のはずですが、淳紀はずっとこう思っていたのです。
「彼女に不満はない。でも、もっと良い人がいるのでは」
この婚活サイトでは利用者が「手付金」と「成功報酬」を支払う仕組みでした。手付金はサイト登録時に支払うお金で、成功報酬は成婚時に支払うお金です。この婚活サイトの運営会社は、利用者に戸籍謄本などの提出を求めていないので、成婚したかどうかは、利用者の自己申告に委ねられています。このため利用者が成婚の事実を隠し通すことも可能です。淳紀さんもそのひとりで、運営会社に何も報告しなかったようなのです。
よって婚活サイト上には淳紀さんのプロフィールは「未婚、結婚相手募集」のまま残ります。淳紀さんは上場企業に勤めており、年収は900万円。その額は稼ぎのいい夫を求める女性にとって極めて魅力的に映ったことでしょう。実際、淳紀さんには複数の女性からアプローチがありましたが、結婚している事実は伏せたままでした。
淳紀さんがやっていることは間違いなく「不倫」です。しかし、淳紀さんのなかには「もっと良い人がいるのでは」という大義名分があるようでした。このため罪悪感がないのです。傍目にはずいぶん身勝手な行動に見えますが、淳紀さんは自分を「ナンパ師」とは思っていないのでしょう。
婚活サイトでモテる男性は、「高収入」など条件のいい人。チヤホヤされる状態があまりに心地よくて、念願の結婚・入籍をした後も、「相手探し」を続けてしまう……。そんな人が少なくないのです。「もっと良い人がいるのでは」とサイトで婚活を続行した淳紀さん。「妻との離婚」について悪びれる様子もなく私にアドバイスを求める態度には返す言葉もありませんでした。