“特殊な別居”をする夫婦が増えているという。行政書士で男女問題研究家の露木幸彦氏によれば、「同居する義父母や夫などとの関係が何らかの理由で壊れた妻が、家の近くにセカンドハウス(賃貸住宅)を借り、そこで寝泊まりしつつ、定期的に夫の家を訪ねて家事などをするケースが多い」という。なぜ妻たちは、完全な別居ではなく、そうした中途半端な別居を選ぶのか――。(第2回、全3回)。

35歳の愛人に62歳の夫を奪われた58歳の生き残り戦略

【ケース2 宮川恵子さん(58歳・仮名)】
「私より愛人を選んだ夫が死ぬのを、セカンドハウスで待っています」
A.結婚期間⇒26年
B.セカンドハウスを借りるきっかけ⇒不倫中の夫が妻より愛人を選び居場所を失う
C.夫の同意の有無⇒なし
D.セカンドハウスの賃貸契約者⇒妻
E.セカンドハウスの家賃負担⇒妻
F.妻が寝泊まりする場所⇒自宅
G.夫からの生活費⇒あり
※写真はイメージです(写真=iStock.com/ShaneKato)

宮川恵子さん(58歳)は結婚26年目で、夫(62歳)が経営する保険代理店(自宅兼事務所)で経理の仕事を手伝ってきました。ひとつ屋根の下で、夫と義父と共に暮らしており、離婚するつもりもないのですが、それでも自分で借りた「隠れ家の部屋」で息抜きをせざるを得ない事情があるといいます。

「私は隠れ家としてアパートの一室を契約しています。家のなかに居場所がないので、避難場所として心身ともに休めるところが必要なんです。“家族”をぎりぎり維持するには、そうするしかなかったのです」

恵子さんがセカンドハウスを確保するきっかけになったのは夫の不倫。しかも相手は事務所の女性秘書(35歳)です。

「仕事上の関係だけにしてほしい。それができないならクビにしてほしい」

▼夫に経済的に依存しているため離婚を切り出せない

妻と愛人、どちらを取るのか……。恵子さんは夫に二者択一を迫ったのですが、どうしても愛人を切れない事情があったのです。女性は夫の事務所で働き始めて10年目。一番の古株で他の従業員からの人望も厚く、姉貴分的な存在。また、夫が把握していない仕事にも多く関わっているので女性の存在なしに事務所は回りません。だから、女性は「どうせ辞めさせられないわ!」と自分の強い立場にあぐらをかいているのでしょう。

一方の恵子さんは節税対策の一環として確定申告上の専従者になっています。専従者給与(毎月20万円)を夫からもらっていますが、すべて使い切っていたので、へそくりはありません。もうじき還暦の恵子さんが別の仕事を見つけ、他の場所に住み、1人で生きていくことは厳しい。経済的に自立していないため、「女(秘書)を切らないなら離婚する」とは言い出せない弱い立場なのです。