続く「決定」ステップでは、「できる」「できない」ではなく、「やる」「やらない」「今はやらない」という3つの選択肢の中から決めていこう。「できる」「できない」で判断しようとすると、「できそうもない」と挑戦しない言い訳ばかり挙げてしまう。

一方「やる」「やらない」「今はやらない」だと、「自分は『できない』のではなく、『今はやらない』という選択をしただけなんだ」とポジティブな決定としてとらえられる。

自分の弱さを認識できる人は「伸びしろ」が大きい人

行動のステップは、心理療法の分野では「行動実験」と言い換えられている。決めたことを行動に移すのにもいろいろなやり方があるので、一番自分に合ったやり方を見つけるために、行動しながらさまざまなことを試す実験ととらえるのだ。

最初から正解を狙ってもうまくいかない。「行動実験」をしながら自分なりの正解を探す。うまくいかなければ「再考」して別の方法を試してみる。この繰り返しだ。図にある「弱気を克服する9つのワーク」は、どれも難しいものではないので試してみてほしい。

勇気が出ない人とは、求める水準が高く、自分に厳しかったり、手を抜けないまじめな人だったりすることが多い。しかし、そこで自分の弱さを認識できる人は、強くなる「伸びしろ」が大きい人とも言えるのだ。

▼弱気を克服する9つのワーク

【悩む】
(1)カレンダーに丸をつける
「今日、生きている」と確認するところから自己肯定感を育てていく。
(2)「よかった探し」をする
一日を振り返り「よかったこと」を記録すれば、ネガティブ思考の改善に。
(3)意識的に鏡を見る
自分を認め、他者思考を自分思考に変えるのに効果あり。
【考える】
(4)自分宛ての手紙にアドバイス
相談とアドバイスの二役を行うことで、思考の問題点が明確に。
(5)「ミラクルクエスチョン」を行う
自分に問いかけることで、目標が具体化。行動に移しやすくなる。
(6)「他者思考でないか」をチェック
人の望みではなく「本当に自分が望んでいることかどうか」を確認。
(7)命軸で考える
失敗したら命に関わるか否か。命を取られないなら実行を。
【決定】
(8)「やる、やらない、今はやらない」
「できる、できない」で判断すると目標から逃げがちになる。
(9)退路を断つ
資格試験に申し込むなど「せざるをえない」状況をつくる。
小さなワークを積み重ね、大きな勇気を育てよう。
※玉川氏への取材をもとに編集部作成
玉川真里(たまがわ・まり)
臨床心理士
NPO法人ハートシーズ理事長。1991年に陸上自衛隊に入隊。2008年に現場初の臨床心理士として自殺予防対策を任される。自衛隊を辞めNPO法人を設立。著書に『いい人病』など多数。
(構成=大井明子 撮影=向井 渉 写真=iStock.com)
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