ムダ遣いをしてしまう、行動がのろい、片づけられない……。そんな苦手を克服するにはどうすればいいのか。今回、9つのテーマに応じて、各界のプロにアドバイスをもとめた。第2回は「片づけられない」について――。(第2回、全9回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年7月16日号)の掲載記事を再編集したものです。

理想的な動きは、「空中『選』」にあり

突然ですが、クイズです。

「○○○片づける」

写真=iStock.com/NinaMalyna

片づけが苦手な人がついやってしまう身のまわりが散らかってしまう原因となる習慣は何だと思いますか?

答えは「あとで」です。

家の大片づけをするぞ、と腕まくりをしたものの、気が遠くなり始められない。始めたものの、懐かしい本が出てきて「まあいいか、今日一日は」と先送りしてしまう。前者は片づけ「前」、後者は片づけ「中」の問題です。この両者が目指したいのは「すぐに」です。

理想は「つねに」ですが、継続して片づけられるようになるのは片づけ「後」の問題です。

あなたは片づけのどのタイミングでつまずくでしょうか。最初につまずく片づけ「前」のポイントについて解説しましょう。

片づけには、いまもらった書類をどうするかという小さな片づけと、散らかった部屋全体をきれいにするという大きな片づけがあります。

小さな片づけを「あとで」として、始められない人の根本的な原因は「置く」という動作に対して、いつも無意識であることです。あなたは会議が終わったあと、自分の席に戻った際、資料をどうするでしょうか。しなければならない仕事があるので、とりあえずここに置いておこう……という習慣が続いて、机に書類の山ができるのです。

すぐに片づけができる人の理想的な動きを、私は「空中『選』」と呼んでいます。持ち込んだモノを置く前の段階、空中でファイルに残したり、捨てたりとすぐに取捨選択するのです。この小さな片づけを繰り返しできるようになることが、片づけの基本となります。

では、部屋全体を片づけるような大きな片づけの場合、「あとで」と先送りしてしまう原因は何でしょうか。

これは片づけのエリアを全体で見てしまい、今日一日で全部片づけようと考えるからです。全部片づけるほどのまとまった時間は取れない。そこで「あとで」と先送りしてしまうのです。