ムダ遣いをしてしまう、行動がのろい、片づけられない……。そんな苦手を克服するにはどうすればいいのか。今回、9つのテーマに応じて、各界のプロにアドバイスをもとめた。第6回は「だまされやすい」について――。(第6回、全9回)

※本稿は、「プレジデント」(2018年7月16日号)の掲載記事を再編集したものです。

ディベート思考で「自問自答」する

基礎的なことですが、だまされないためには、まずは自分の考えを持つことが大切です。とはいえ、これが意外と難しいのです。脳科学のある実験結果を紹介しましょう。

写真=iStock.com/AntonioGuillem

ある議題について、被験者20人を対象に賛成か反対かの票を取る実験をしました。1つのグループは10人全員に一斉に投票用紙に書いてもらいます。もう1つのグループは、10人全員が集まったところで、最初の3人に連続して意見を聞き、全員に「賛成」と答えてもらいました。その後、4人目、5人目……とその場で投票してもらいます。その結果、前者より後者の賛成票が多くなったのです。人は前の人の意見に流されやすいのです。

これを踏まえていくつかの対策を教えましょう。例えば、重要な会議で賛否を募るときは、順番に聞いていくのではなく、その場で一斉に紙に投票させたほうがいい。また「質問はありませんか?」と聞かれたときは真っ先に手を挙げてください。さらに事前に紙に書き出しておくと、周囲に流されずに自分の意見を話せます。

周囲の意見に流されないためには、賛成派と反対派の両方の意見を常に自分の中で用意する“ディベート思考”を持つことが重要です。例えば、ある本について友人から「すごくよかった」と言われても、あえてその本の欠点や疑問点を話して反論してみましょう。加えて、自分自身でも両論に耳を傾けてみるのもよいでしょう。例えば、原発反対派の人は反対論者の本しか読まないことが多いですが、賛否どちらの本も読むことで、ディベート思考は鍛えられます。

もちろん、自分で考えることに加え、よき相談相手を見つけることも重要です。

「夏休みにハワイにいこうと思っているんだけど、どう思う?」「この服、似合うかな?」など、些細なことで構いませんので、とにかく意見をもらえる人を増やしてください。