知人は「自分のほうが多く金を出している」と主張
コンセプトや内装など、店舗づくりはすべて杉原さんの担当のはずだったのに、「もっと豪華に」と知人が口を出し始めたのだ。杉原さんが反論すると、「自分のほうが多く金を出している」とやり込めてきた。そして、なんとか開業したのが13年4月のこと。
そんな杉原さんに、さらなる厳しい現実が待ち受けていた。ヨーグルトは賞味期限が約2週間。まだ始まったばかりで客足や店頭販売の予測が立たず、仕入れの量が読めない。かといって欠品では商売にならず、廃棄ロスがかさんでいく。販促費も乏しく、割高な商品に手を伸ばさせるアピール力にも欠けた。結果、売っても利益が出ないジレンマに陥った。
「少しでも売り上げアップを」と焦る知人が、インド料理のコックを連れてきて店のコンセプトが一変し、やっと付き始めた固定客も逃げてしまった。結局、開店から10カ月で閉店に。共同経営の難しさを痛感する杉原さんは、いま介護の現場の仕事で生活の糧を得る日々を送っている。
(撮影=石橋素幸)