数字(金額)も交えて家族で話し合うことが大切
このような見通しは「たられば」なのであまり意味がないとおっしゃる方もいます。確かにこのようにうまくはいかないかもしれません。しかし、親子で将来の見通しについて話し合う、ということはとても大切なことだと考えています。なぜなら、親御さんだけでなく子供も将来のお金に関して強い不安を抱えているケースがよく見受けられるからです。
全額準備できそうにないので親子で何も話し合わない、となってしまうと、毎日漠然とした不安を抱えて過ごすことになってしまいます。漠然とした不安はどんどん大きくなっていき、家族にのしかかってくることでしょう。話し合っても不安自体はなくなりませんが、あえて不安をはっきりさせてしまうことで、家族に前向きな気持ちが生まれる可能性も期待できます。
ポイントは数字(金額)も交えて話し合う、ということです。数字として見える化すると、親子で目標とする数字を意識し、いろいろな対策も実行しやすくなるからです。
「障害年金が出る出ないにかかわらず、今回のことをふまえて家族で将来のお金の見通し立てることも検討してみてくださいね」
「わかりました。そうしてみます」
気持ちの切り替えができたためか、母親の表情からは前向きな力強さが感じられました。
障害年金の請求手続きは時間と労力がかかる
最後に私は障害年金の手続きをするうえで知っておきたいポイントや注意点などを説明しました。また、すべての書類をそろえるまでには何度も病院や年金の窓口に行くことになり、時間と労力がかなりかかるのでその覚悟も必要です、というお話もしました。
「私は専業主婦なので時間はあるのですが、やっぱり厳しいと思いました。長男の請求はお願いしても大丈夫でしょうか?」
長男の障害年金の請求は母親が代理でするか、私のような専門家に頼むか、どちらにするか悩まれていたとのこと。今回の相談の後、どちらにするかは母親が決めてよい、と事前に家族で話し合っていたそうです。結果、今回は私が長男の障害年金の請求を代行することになりました。
ひきこもりの家族のご相談を受けていると、少なからず精神疾患を発症してしまっているケースも見受けられます。もちろんすべてのケースで障害年金がもらえるわけではありませんが、子供の生活設計を立てるうえで障害年金も検討事項のひとつになると考えています。