神奈川県発祥のスリーエフやポプラもローソンとの共同店舗となり、エリアコンビニは消滅の方向に向かっている。だが閉店前日の8月30日、ローソンから群馬県民に朗報がもたらされた。セーブオンから転換する「ローソン伊勢崎緑町店」に、焼きまんじゅうの直売所が併設されることが発表されたのだ。ローソン広報は「お客さまからの支持が熱く、継続を協議していた」と説明する。

焼きまんじゅう直売所の併設は、転換によって5店舗から1店舗になる(著者撮影)

そのほかにも、同じく伊勢崎緑町店と「ローソン前橋南インター店」では、看板や外壁にローソンとセーブオンのダブルネームとなるロゴを設置するという。わずかではあるが、セーブオンの魂が群馬に残った形になった。

吸収合併した店の特色を活かす

ローソンの店舗数は現在1万3992店舗(18年2月末時点)で、大手3社では最下位だ。日販ではファミリーマート(52万8000円、18年2月現在)を上回っているが(52万1000円)、首位セブンには13万円の差をつけられている。

エリアコンビニの吸収合併において、店舗数を増やすだけでなく、地元で愛されるブランドを取り込む姿勢には大きな意味がある。繰り返すように、寡占と同質化が進むコンビニ業界で、差異化を図ることが今後の各社の課題になっていくからだ。

渡辺 広明(わたなべ・ひろあき)
流通アナリスト・コンビニ評論家
1967年、静岡県生まれ。東洋大学法学部卒業。ローソンに22年間勤務し、店長やバイヤーを経験。現在はTBCグループで商品営業開発に携わりながら、流通分野の専門家として活動している。『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ)レギュラーほか、ニュース番組・ワイドショー・新聞・週刊誌などのコメント、コンサルティング・講演などで幅広く活動中。
【関連記事】
伊藤忠がファミマを子会社化した真の狙い
ローソンが示す"次世代コンビニ"の未来像
セブンが勝てない「最強コンビニ」の秘密
ローソンの鬼教官「挨拶は3秒で十分」
店長の挨拶と店員の接客レベルは比例する