財務省は10月、イートインコーナーがあるコンビニでも、消費税率8%の軽減税率を受けられる対応基準を示した。購入時にレジで「持ち帰るか、その場で食べるか」を確認され、「持ち帰る」とした場合は10%ではなく8%になるという。元ローソン店長で、現在もコンビニの店頭に立つ流通アナリストの渡辺広明氏は、「コンビニのレジ業務はやることが多すぎる。持ち帰りの確認は現実的ではない」と指摘する――。
コンビニの飲食コーナーで無線インターネット接続をするビジネスマン。2001年、街角で無線でインターネット接続が可能な「ホットスポット」が増えたことを伝える写真。(写真=時事通信フォト)

25年前よりはるかに煩雑化したコンビニレジ

月に数回、コンビニの店頭に立つことがある。そこで感じるのは、25年前までコンビニ店長をやっていた経験が、レジ業務についてはあまり役に立たないということだ。とにかく煩雑なのだ。

規格統一されていない各種電子決済やポイントカードの有無、タバコやアルコールの年齢確認、インターネット通販やオークションサイトの受付・受け渡し対応、公共料金の支払い、チケットの発行、レジ横のホットスナックやおでんの調理や販売……。

異国の地でこんなにややこしい仕事をこなす外国人アルバイトには、尊敬の念を抱かずにはいられない。あるコンビニオーナーは「10年前は、新人アルバイトが入っても1~2日でレジ打ちができるようになったが、今は学生なら5日間、外国人や年配者なら2週間程度はかかる」と語る。

「持ち帰りますか?」確認の手間が発生

そんな中、財務省は10月4日、店内に椅子やテーブルを置くコンビニやスーパーなどでの軽減税率の対応基準を示した。「飲食禁止」を明示し、持ち帰りの意思確認ができれば、イートインコーナーがあっても、8%の軽減税率が適用される。

2019年10月に予定される消費税増税で、外食には10%の消費税がかかるようになるのに対し、テイクアウトや宅配には軽減税率が適用され、8%のまま据え置かれる。これまでのガイドラインでは、イートインは外食扱いで対象外だったが、今回の線引きにより店内に椅子やテーブルなどがあるコンビニでも、食品に軽減税率が適用される。

想定されているのは、レジで客に意思を確認し、持ち帰るなら消費税8%、イートインで飲食していくならば10%としてレジ打ちをする形だ。単純な確認作業のように思えるかもしれないが、前述のようにすでにコンビニのレジ業務は非常に煩雑になっている。店舗によっては1日1000人近く来店するのだ。なかでも食品の購買比率は高く、レジオペレーションに確認対応を入れ込むことは著しい非効率となる。