ここまできたら病院の手助けも
2:「うつ病」かもしれないと思ったら

うつ病には、次にあげる9つの典型的な症状があります。

(1)抑うつ気分。憂うつで何の希望もないという気持ちです。いまにも泣き出しそうな表情や、やつれた雰囲気からまわりの人が気づくこともあります。
(2)興味や喜びの喪失。いままで楽しんできた趣味や活動に興味を持てず、性的な関心や欲求も減退します。
(3)食欲の減退、または増加。食欲が低下し、体重が減ることも珍しくはありません。逆に甘い物や、特定の食べ物ばかりを欲しがるケースもあります。
(4)睡眠障害。不眠または過眠のことです。不眠はうつ病の典型的な症状。
食欲と睡眠という人間にとって大切な欲求の障害が2週間以上続くようなら、専門医を受診したほうがいいでしょう。
(5)精神運動の障害。はっきりわかるほど、身体の動きが遅くなり、口数が少なくなります。逆に焦燥感が募って、落ち着きなく動きまわる人もいます。表面的には元気そうに見えるので注意が必要です。
(6)疲れやすさ、気力の減退。
(7)強い罪責感。何の根拠もなく自分を責めたり、過去の出来事を思い出してくよくよ悩むようになります。
(8)思考力や集中力の低下。
(9)死への思い。うつ病が重くなると、気持ちが沈み、辛くて辛くて「死んだほうがまし」という考えが頭から離れなくなります。自責の念から「自分なんかいないほうがいい」と突然、死にたいという衝動に襲われることも。

初期の段階でまわりが気づきやすい症状は、ぼんやりして笑顔が減った、食欲が明らかに落ちている、などでしょう。ビジネスパーソンが朝なんとなく朝刊を読めなくなる「朝刊症候群」や、夜中に目が覚めて、寝床の中で悶々と思い悩む「午前3時症候群」も手がかりになります。

先にあげた(1)か(2)のどちらかを含めて、5つ以上の症状が2週間以上続くようなら専門医を受診しましょう。

明らかに辛そうなのに、本人が「これくらいのことは何でもない」と頑張りすぎていることもあります。そんなときは家族が「重さと時間と経過」を観察して、リングサイドからタオルを投げ入れることも必要です。

▼自分では気づけない! うつ病のはじまり
日常行動:口数が少なくなる/イライラしている
人間関係:付き合いが悪くなる/気弱になる
仕事:仕事が遅くなる/集中力が低下する/ミスが増加する/遅刻・欠勤が増える
身体症状:睡眠障害/食欲低下/全身倦怠感/肩こり
出典:大野 裕『最新版「うつ」を治す』