Q.04:MCIになったら、必ず認知症になる?
「健常に戻るケースも少なくない」
認知機能が低下しているものの、認知症までは至っていないのが、MCIだ。65歳以上の認知症有病者の推定値は15%、MCIは13%という統計がある。MCIからそのまま認知症に進行するのは、1年で約10%、4年以内には約50%と考えられている。
「ただしこれはそのまま放置した場合。生活改善や認知機能を高める訓練をすれば、2年間は進行を食い止めることもできます。5年たって逆に改善が見られ、健常に戻るのが約10~40%という調査もある。早めに診断を受けて対策をとるのが大事です」
Q.05:認知症に効く漢方薬がある?
「周辺症状を軽くするものはある」
認知症の特効薬はまだ開発されていない。現在、治療薬として日本で承認されているのは「ドネペジル」など4剤だ。アルツハイマー病は神経伝達物質のアセチルコリンが減少する。そこでドネペジルはアセチルコリンの分解を防ぎ、認知機能の低下を食い止める。
「認知症そのものを改善はしませんが、漢方薬が用いられることもあります。代表的なのは、7種類の生薬を配合した「抑肝散」。不安や精神の乱れなど、周辺症状を抑えるために処方されます」
Q.06:昼寝していると認知症になりにくい?
「30分程度が効果的」
朝田さんが研究した結果、昼寝の習慣がある人は、ない人に比べてアルツハイマー病になりにくいことがわかった。
「睡眠不足は脳と体にストレスを与え、海馬の神経細胞の再生が妨げられます。それが昼寝をすることでストレスが解消される。眠る時間でもっともいいのは、50歳までなら20分以内、それ以上は30分以内です。1時間以上昼寝すると、起きた後の活動性が下がって夜の睡眠の質も落ちて、かえってよくありません」