Q.01:10時10分を示す時計が描けないと要注意?
「描けなければ、認知症の疑いがある」

認知症を調べる検査として、アナログ時計の絵を描いてもらう「時計描画テスト」がある。円の中に数字と時計の針を描き込んでもらう。認知症の疑いがある人は、円がいびつになったり、数字を均等に描けないことがあるのだ。

「認知症では普通にものが見えているのに、位置や向きを認識する能力が低下します。そのため図形を描けなくなったり、運転が下手になったりすることも。時計の絵は数字の配列が均等で、なおかつ10時10分や4時40分のように針が対称に描けたら、ひと安心といえるでしょう」(朝田氏・以下同)

Q.02:認知症が血液検査でわかるって本当?
「MCIのリスクがわかるようになってきた」

基本的に認知症は問診や画像検査などで診断される。しかし最近、血液検査で、軽度認知症(MCI)のリスクがわかるようになってきた。

「アルツハイマー病の原因の1つと考えられるのが、アミロイドβペプチドという老廃物。これを排除して毒性の防御をする3種類のたんぱく質の量を測定することで、アミロイドβペプチドがどれだけ蓄積されているかを推定。リスクが4段階で評価されます」

必要な血液はたった約7cc。2~3週後に結果が出る。

Q.03:認知症は手術で治る?
「ごく一部、治せるものもある」

アルツハイマー型やレビー小体型など、脳細胞が死滅していくタイプは、発症すると完治することはない。よって治すことより進行を遅らせることが目的になる。

「しかし脳室(脳内の空間)にたまった脳脊髄液が脳を圧迫することで認知障害が現れる正常圧水頭症は、脳脊髄液を抜けば症状が治まります。硬膜と脳の間に血がたまる慢性硬膜下血腫や、全身の機能が低下する甲状腺機能障害も、病気を治せば症状がなくなる。原因を調べずにあきらめてはいけません」