「○○が認知症に効果的!」――。突拍子がなくて「バカな」と思う惹句でも、「それ、ホント?」と気になることはないだろうか。社会の高齢化に伴い、多くの人にとって心配事となった認知症。俗説や怪情報に惑わされないよう、その真偽を検証する――。
科学的根拠がある説を見極めよ
「カレーが認知症に効果的」「高速道路の近くに住んでいると認知症リスクが高まる」……そんな本当か嘘かわからない情報がメディアに氾濫している。
その背景として、認知症に対する関心の高まりがあるのだろう。2025年には700万人を超えると予測され、65歳以上の日本人の5人に1人が認知症になる計算で、今や国民病といっても過言ではない。正しい情報を見極め、予防や治療に役立てるにはどうしたらいいのだろうか。長年認知症の予防に関わってきた朝田隆さんは、「効果がありそうな“甘い水”に惹かれるかもしれませんが、信頼性の乏しい新説に飛びついてはいけません」と説明する。
「認知症の予防にもっとも有効とされている有酸素運動は、研究発表から認められるまでに約30年かかりました。一方で医学の世界で常識とされていることが、後に否定されることもあります。長年の研究によって、エビデンス(科学的根拠)が確立された情報を選び、慎重に見極めましょう」
認知症は必ず治るという病気ではないが、予防や対策によって進行を遅らせることは可能だ。以下、世間に流布する多くの俗説を検証したので、正しい予防と対策に活かしてもらいたい。
▼認知症とはどんな病気か?
認知症はひとつの病気ではなく、70以上の病気による一定の症状を表しており、さまざまな種類がある。代表的な「アルツハイマー型」「レビー小体型」などは、脳内に老廃物がたまり、「脳血管性型」は脳卒中が原因で脳細胞が死滅していく。
新しいことが覚えられなくなる「記憶障害」、時間や場所がわからなくなる「見当識障害」、作業を手順どおりに行えなくなる「実行機能障害」などがおもな中核症状。その他、周辺症状として妄想や幻覚、不眠などが起きることもある。
認知症はひとつの病気ではなく、70以上の病気による一定の症状を表しており、さまざまな種類がある。代表的な「アルツハイマー型」「レビー小体型」などは、脳内に老廃物がたまり、「脳血管性型」は脳卒中が原因で脳細胞が死滅していく。
新しいことが覚えられなくなる「記憶障害」、時間や場所がわからなくなる「見当識障害」、作業を手順どおりに行えなくなる「実行機能障害」などがおもな中核症状。その他、周辺症状として妄想や幻覚、不眠などが起きることもある。