世界の約60名の「100歳以上」を取材してわかったこと

「センテナリアン」という言葉をご存じだろうか。これは「1世紀(センチュリー)を生きた人」という意味で、100歳を超えた人を指す言葉だ。現在、世界で45万人以上、日本だけでも6万7000人以上いて、その数は年々史上最高を更新している。

2017年、105歳で亡くなった日野原重明・聖路加国際病院名誉院長。生涯現役を貫いた(写真は2012年撮影)。(時事=写真)

NHKでは、センテナリアンにスポットを当てるNHKスペシャルを2016年に放送した。この番組が、翌年105歳で亡くなった医師・日野原重明先生の最後のテレビ出演となったこともあり、大きな反響があった。

われわれ取材班は、世界中を駆け回り、約60名のセンテナリアンを取材した。健康状態は人それぞれではあったが、「元気な人は、驚くほど元気」という印象である。ニューヨーク在住の105歳男性は、現役の理容師。普段はメガネもかけず、自動車を器用に運転していた。毎日自転車を10キロほど漕ぐのが習慣というイタリアの103歳男性は、車に乗っても追いつけないほどのスピードで走り抜けていった(年齢は番組放送当時のもの)。

人類の平均寿命は、この150年で約40歳から約80歳になった。今も世界の平均寿命は毎年3カ月延びている。これは1日につき6時間ずつ寿命が延びているのに等しい。

これだけ急激に寿命が延びた理由は、「遺伝」だけでは説明できない。まったく同じ遺伝子を持つ一卵性双生児たちの一生を追跡した研究調査があり、双子たちはほぼ同時に生まれているが、亡くなる時期にはバラつきが見られた。その調査からわかったのは、寿命を決める影響の割合は遺伝子が約25%、環境が約75%という事実である。そして近年、センテナリアンの数が増えたことで、事例も増え、どんな環境であれば健康長寿が実現できるかが徐々に明らかになりつつある。