Q.07:認知症は遺伝する?
「遺伝する人もいるが、ほとんどは加齢によるもの」

認知症は患者の約8割を80歳以上が占め、ほとんどが加齢によって起きる。しかしなかには遺伝によるケースもあるという。

「特定のたんぱく質の働きを決めるAPOE遺伝子は、E2型、E3型、E4型の3種類がある。日本人の70%はE3型なのですが、E4型の人はアルツハイマー病のリスクが2~3倍に高まることが明らかにされています。遺伝による認知症の場合、50代以下の若年で発症するケースが多いのが特徴です」

Q.08:カレーが認知症予防になる?
「特に根拠はないと思われる」

「インドで認知症が少ないのは、主食のカレーに有効成分が入っているから」という説がある。その説を朝田さんは「おそらく国民の平均寿命が短いため、認知症の発症が少なかったのでは」と否定する。

「この食品だけ摂れば認知症に効果的ということはありません。基本は栄養をバランスよく摂り、そのうえで野菜、魚介類、果物を積極的に摂取すること。それらに含まれるポリフェノールやビタミンA・C・Eといった抗酸化物質は、認知症リスクを低下させます」

Q.09:糖尿病だと認知症になりやすい?
「2倍なりやすいという説がある」

血糖値が高いと、動脈硬化などの合併症が起こりやすくなり、血管性認知症のリスクが高まる。ある調査では、糖尿病の人は正常な人より血管性認知症のリスクが1.8倍高まるという結果が出た。

「糖尿病はアルツハイマー病のリスクが2.1倍高まるという報告もあります。血糖値を調節するインスリンは脳の情報伝達にも関与しており、高血糖が続くと働きが悪くなって、情報伝達がうまく行えなくなる。結果、記憶を司る海馬にも損傷を与えるようです」