求められるのは、テクノロジーを使いこなせる人

──AIなどテクノロジーの進化が目覚ましいですが、求められる人材像も変わりますか。

たとえばビッグデータを使って将来の行動や事象を予測する手法は、すでにグループ内で活用が進んでいます。損害の査定業務は現在国内にいる社員の約半数が携わっていますが、過去のデータや、車載カメラやセンサーなどを使うことで業務を簡素化し、大きく効率化が進む可能性が高い。営業でも照会応答にAIを活用しています。会社全体で生産性が上がり、効率化が進めばその人員でサイバーリスクや健康経営、地方創生関連など、これまで注力できなかった新しい分野に余力を振り分けられる。テクノロジーの変化は、むしろチャンスです。

テクノロジー社会で求められるのは、まずテクノロジーを使いこなせる人。といっても、必ずしも専門的に使いこなす必要はありません。大切なのはシナリオ構築力です。「社会をどうしたいから、そのためにこの技術が必要だ」というストーリーを描ければ、あとは専門家に助けてもらえばいい。

もう1つ、大事なのは人間力。「ネットを使えば簡単に手続きできるが、最後はあの人の笑顔が見たい」とお客様に感じていただけるヒューマンリテラシーがある人は、テクノロジーに置き換えられないでしょう。

▼QUESTION
1 生年月日、出生地

1952年11月9日、高知県
2 出身高校、出身大学学部
慶應義塾高等学校、慶應義塾大学商学部
3 座右の銘
知行合一
4 座右の書
『自助論』サミュエル・スマイルズ
5 尊敬する人
祖母
6 私の健康法
毎朝の腕立て伏せや腹筋などのトレーニング
永野 毅(ながの・つよし)
東京海上ホールディングス グループCEO
1975年に東京海上火災保険(現・東京海上日動火災保険)へ入社。名古屋営業第三部長、経営企画部長、海外事業企画部長などを経て、2013年6月より社長。16年4月より現職。大学時代には体育会水泳部葉山部門(遠泳)の主将を務めた。
(構成=村上 敬 撮影=大槻純一)
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