「自己修正力」を高めると最短距離で成長できる

「ゴール意識」の次は、最適なルートをチョイスしながら最短距離でゴールに向かって進むことです。その際に「他者の目」を活用しましょう。身近な人に、自分のプレゼンテーションに対するフィードバックやアドバイスをもらいましょう。

重要なのは人選です。「またこの人からアドバイスをもらいたい」と思える人を選ぶのがポイントです。その際、相互にフィードバックをし合うと「Give&Take」のバランスが取れて、継続的にお願いしやすくなります。

コツは「良い点と改善点の両方からアドバイスください」と明確に言うことです。そうしないと「おべんちゃら」や気休めの言葉だけを言われて、何の参考にもならなかったり、逆にできていない点を10個も20個も言われて自信をなくしてしまったりしかねないからです。

さらに効果的なのが、見てほしい観点を指定すること。「私のプレゼンテーションは硬すぎると言われることが多いんです。なぜ聞き手にそう感じさせるのかを言ってもらえませんか?」と具体的にお願いするといいでしょう。

こうして、他者から具体的で多面的な分析コメントをもらうことでたくさんの気づきを得られます。「硬すぎる印象を与えているのは×××が原因だったのか?」「△△△を取り入れることでもっとよくなる」というように、今まで自分だけで考えても分からなかった原因や改善のポイントが明確になります。

このプロセスを繰り返していくことで自分自身の分析力も磨かれていき、それによって自己修正力が高まっていきます。最終的には、仮に他者からの指摘がなくても客観的な自己分析によって、プレゼンテーションスキルを継続的に高めていくことができるようになるのです。

スマートフォンやタブレットを活用するとより効果的です。自分のプレゼンテーションを録画し、課題を確認します。自分自身のビデオを見るのは気恥ずかしいものですが、自己修正力を高めるうえでとても役立ちます。私自身、チャンスがあれば録画するようにしていて、そのためにミニ三脚を常時持ち歩いています。

「成長実感」を持つためにはチェックリストを活用する

3つめのキーワードは「成長実感」です。

自分が成長していると感じるとうれしくなるし、このあとも成長し続けるんじゃないかという予感が持てるもの。そういう未来への希望が新たな頑張りを引き出します。だから「成長実感」を持つことは非常に重要なのです。

ところが「成長実感」はくせものでもあります。研修では、謙虚な受講者ほど「周りのメンバーは成長しているのに、自分だけが取り残されている気がする」とコメントしがちです。周りから見れば明らかに伸びているのに、本人だけがそれに気づいていないのです。これではもったいない。だから私は、数日間にわたる比較的時間がある研修では、最後に「自分が伸びたと思える点」を発表してもらうようにしています。そうやって改めて自分を見つめ直すことで、人は自分の成長を発見し、実感できるのです。