部下がこうしたタイプの場合、彼らの意識を変えて戦力化するには、まず直属の上司が面談します。IT大手のヤフーが行う「ワン・オン・ワン」(1対1)のような面談が有効です。ヤフーは毎週実施しますが、これと同じような面談をせめて毎月行います。

写真=iStock.com/iryouchin

使うのは「フィードバック」の手法です。次のように段階的なステップを踏ませます。

ステップ1は、「伝える」段階。

たとえば部下が営業職の場合、「あなたの年収は480万円です。それに見合った個人売り上げは600万円ですが、100万円未達成だった。この差をどうすれば埋められますか?」と伝えます。「どんな場合に(状況)」「何をして(行動)」「どうなったのか(影響)」の状況に即して、事実を淡々と伝えるのです。

ステップ2は「振り返る」。ここでは、部下自身に「事実」を振り返らせ、そのうえで具体的にどうするかを答えさせます。「何が起きたのか(100万円の未達成=事実)」「なぜそうなったのか(理由)」「これからどうするのか(変革)」を導かせなければなりません。

そうはいっても、すぐに変革できるかといえば難しいでしょう。その場合はどうするか? 上司は前述したフィードバックを繰り返すのです。

これがステップ3「フォローする」段階です。ここではステップ2をさらに深めます。「100万円未達の原因は何か(問題の深掘り)」を考えさせ、今度は理由ではなく「ギャップ」として「現状の自分に何が足りないか」、さらに「これからどうするのか」を具体的に本人に考えさせます。

そして本人が具体的に考えるようになれば「任せる」。上司が自分でやってしまうと、部下は育ちませんし、依存体質になるだけですから。

▼対処法
「本当はできない自分」を客観視できるよう導く
平康慶浩
セレクションアンドバリエーション代表取締役
人事コンサルタント。アクセンチュアなどを経て2012年から現職。150社以上の人事評価制度改革に携わる。
 
(構成=高井尚之 撮影=永井 浩 写真=iStock.com)
【関連記事】
"無責任な二流"ばかりが出世していく理由
ビジネスで失敗する人は「客観視」が苦手
"遅刻の言い訳"をする人は戦場なら死ぬ人
新卒1年目で解雇された地方公務員の主張
勤め先を自慢する社員が会社をダメにする