諸悪の根源は「安倍1強」の無自覚さ

そもそも一連の不祥事がどうして起きたかを考えると、「安倍1強」という異常な体制に原因があったことがわかる。

2014年の内閣人事局の創設で、霞が関の主要官僚の人事を官邸が握った。霞が関の官僚たちは安倍晋三首相、官邸、それに閣僚政治家のご機嫌を取って自らの出世のテコにしようと懸命になった。そこから「忖度」という言葉がささやかれるようになった。

前述した朝日社説(4月24日付)は「行政の信頼を土台から崩す事態が後を絶たないのに、政権・与党の危機感の欠落ぶりは深刻だ」と指摘している。

その通りで、「安倍1強」の問題について、政府・与党はまったく気付いていない。

朝日社説は「国有地取引をめぐる財務省の決裁文書が改ざんされた森友学園の問題、財務事務次官が辞任に追い込まれたセクハラ疑惑は、財務省が今にいたるまで、まともな説明をしていない」と書き、「身内をかばい続け、責任の所在をあいまいにする麻生財務相の対応が不信を募らせ、混乱に拍車をかけている。政治責任、監督責任は極めて重大である」とも糾弾する。

国民を無視し、ばかにした振る舞い

まともな説明をしない財務省と、身内をかばう財務相……。国民を無視し、ばかにした振る舞いである。

こうした諸悪の根源はやはり「安倍1強」政治にある。元凶は安倍首相本人の自覚のなさだ。そこを首相自身が理解しない限り、“疑惑のデパート”と呼ばれ続けるだろう。

いまは北朝鮮の核・ミサイル開発を完全に凍結させるため、国際社会がひとつになるべきときである。日本は、米国や韓国と協力して、朝鮮半島問題の解決に向けた道筋を立てなければならない。

朝鮮半島をはじめとする国際社会の激変に対応するには、政府が国民から信頼を得ている必要がある。そのためにも一連の不祥事については、証人喚問の実施など徹底した調査を行い、国民の信頼を取り戻さなくてはいけない。与野党ともに国会を空転させている場合ではない。

(写真=時事通信フォト)
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