あの佐川氏はウソのときほど断定口調だった
学校法人・加計学園の獣医学部新設をめぐって衆参両院の予算委員会が、柳瀬唯夫元首相秘書官(現・経済産業審議官)を参考人招致した。
柳瀬氏は3年前に加計学園の関係者と計3回、首相官邸で面会したことを認めた。「記憶にない」と否定していた愛媛県今治市など自治体関係者の同席についても「いたかもしれない」と発言、説明を180度ひっくり返した形だ。これまでの国会答弁はいったい何だったのだろうか。
柳瀬氏は安倍晋三首相に「報告したことも指示を受けたことも一切ない」とも答弁。これに対し、野党は一斉に「不自然だ。加計学園に対し、特別扱いがあったのではないか」と反発した。
今回の参考人招致だけでは事態は治まらず、柳瀬氏の証人喚問が行われることになりそうだ。
ところで3月27日、森友学園に対する国有地売却に関連して浮上した森友文書(決裁文書)の改竄問題で、財務省理財局長だった佐川宣寿氏の証人喚問が衆参両院で実施され、佐川氏は「安倍総理や夫人の影響があったとは、まったく考えていません」ときっぱりと答えていた(プレジデントオンライン「佐川氏は"ウソ"のときほど断定口調になる」3月29日掲載)。
佐川氏も柳瀬氏もいまの霞が関の官僚は、どうして安倍首相をかばうのだろうか。大きな見返りを期待しているのか。それとも安倍政権ににらまれるのが恐ろしいのか。
読売社説の「変身ぶり」が気になる
今回は5月11日付の読売新聞の社説から取り上げよう。
「不誠実な対応が国会の混乱を招き、政府に対する信頼を損ねたと言わざるを得まい」と書き出し、「安倍首相には、一層の説明責任が求められよう」と主張する。
これまでの安倍政権寄りの主張とは違う。読売社説は加計学園をめぐる問題になると、安倍政権を擁護する論調だった。それが今回はきちんと批判するのだ。
社説を担当する論説委員たちの議論のなかで何かあったのだろうか。渡邉恒雄主筆が安倍首相を見限ったのだろうか。それとも沙鴎一歩のこの連載を読んで反省してくれたのだろうか。いずれにせよ、この読売社説の変身ぶりは気になる。
そう思って読み進むと、中盤もしっかりと安倍首相を批判している。
「首相は、長年の友人である学園理事長に対し、学部開設の便宜を図った疑いが指摘されている」と書き、「野党の追及を受ける首相を慮り、柳瀬氏が事実を隠そうとしたとみなされてもやむを得ない」と指摘する。
そのうえで「首相官邸が事実を早期に確認し、説明していれば、事態を複雑化させずに済んだのではないか。対応をおざなりにした結果、政府への不信感を招き、問題を長引かせてしまったと言えよう」と手厳しく安倍政権の対応の鈍さを批判する。まるで朝日新聞の社説を読んでいるようだ。