朝鮮半島の歴史が変わるときに、日本の国会は空転

国会が度々、空転している。

森友学園への国有地売却での決裁文書の改竄や口裏合わせ、加計学園の獣医学部新設をめぐって首相秘書官が「首相案件」と発言した問題、それに財務事務次官のセクハラなど、安倍政権の不祥事が一挙に噴き出し、真相の解明と責任の追及をしない政府・与党に対し、野党が反発しているからである。

その一方で日本の隣国の韓国や北朝鮮が歴史的な大きな節目を迎えようとしている。

今週4月27日には南北首脳会談が行われる予定だ。その後には国際史上初となる米朝首脳会談も控えている。

北朝鮮は核・ミサイルの開発を中止する意向を示している。しかしこれまで何度も国際社会を欺いてきた、したたかな北朝鮮を信用するわけにはいかない。

朝鮮半島が変わろうとしているなかで、日本はどうあるべきなのか。議論すべき大きな課題である。

今年4月、ジャーナリストの櫻井よしこ氏は、産経新聞への寄稿で「国際情勢が激変する中で、日本の政治家、政党はいつまで森友問題なのか」と述べた。(写真=時事通信フォト)

安保の強化と不祥事の真相解明は、どちらも重要

ところで4月12日付のこの連載の「安倍政権が“疑惑のデパート”になった原因」の中で、ジャーナリストの櫻井よしこ氏の主張を取り上げた。

「国際情勢が激変する中で、日本の政治家、政党はいつまで森友問題なのか」
「今こそ、全政治家に問いたい。日米安保体制を強化するとともに、なぜ、日本国の自力を高めるべく憲法改正に向かわないのか、と。憲法改正で日本国の歴史に名を刻む栄誉を担うのが政治家だ」

こうした櫻井よしこ氏の主張に対し、沙鴎一歩は「日米安保体制の強化などには反対ではない。ただ、森友学園の問題と同じ土俵で論じるべきではない」と反論した。

ここ最近、櫻井よしこ氏の主張をまね、安倍政権にくみする輩が多い。それは日本の社会にとってマイナスだ。それゆえあえて繰り返して訴えたい。

日本社会は安倍政権の不祥事に目をつぶってはならない。日米安保体制の強化も、不祥事の真相解明も、ともに国会で議論すべき重要な案件なのだ。

朝日は「空転の責任は与党に」というが……

国会の空転はだれの責任なのか。まず4月24日付朝日新聞の社説を取り上げたい。

冒頭で「国会の空転が週明けも続いた。安倍首相が出席する衆参予算委員会での集中審議も見送られた」と書き、「政府内で不祥事が相次ぎ、立法府が厳しく行政監視の役割を果たすべき時に、時間の空費は決して許されない」と指摘する。

その上で朝日社説はこう主張する。

「この事態を招いた原因は、真相解明と政治責任の明確化を求める野党に『ゼロ回答』で応じた、与党の不誠実さにあると言わざるをえない」

見出しも「正常化の責任は与党に」だ。

さすが“安倍政権打倒”を目指す朝日新聞だけある。国会空転の責任を与党(自民党)に求める。「ゼロ回答」という批判文句も、組合運動が好きな朝日らしさが、にじみ出ている。

続けて「一例を挙げれば、加計学園の獣医学部新設をめぐり、(「本件は首相案件」と語ったという)柳瀬唯夫・元首相秘書官の証人喚問を拒否したことである」と書き出し、「柳瀬氏はその参考人として出席した昨年7月の国会で、『記憶がない』との答弁を繰り返した。今度は、偽証罪に問われる証人喚問で事実関係をただすのが当然ではないか」と訴える。

証人喚問には賛成だ。真相解明の手段として欠かせないからだ。しかし「空転の責任は与党に」という論調にはいささか疑問である。賛成はできない。