あやふやなイエスより、明確なノーを優先せよ

実は仕事ができる人ほど、現状把握がきちんとできているため「今いっぱいいっぱいで、すみません。僕のキャパがもっとあればいいんですけど。ご要望には応じられなさそうです」とキャパオーバーであることを上手に伝えることができます。

潮凪洋介(原著)、うげっぱ(著)『漫画 もう「いい人」になるのはやめなさい!』(KADOKAWA)

つまり、頼んだほうに「ああ、無理なお願いをしてしまったなあ」と思わせるのが非常にうまいのです。ここが「気持ち良く断る」ポイントとなります。頼んできた相手が自然に「ちょっぴりの罪悪感」を感じるように仕向ける技術です。そのためには「少しの気遣い」が必要になります。

先ほどの例で検証すれば、「僕のキャパがもっとあればいいんですけど」をさりげなく付け加えている点でしょう。この「自分の能力不足のせい」という「自分が原因で申し訳ない」一言を添えるだけで相手に与える印象が変わります。

この一言のおかげで、無理して受けて「なんだ、せっかく仕事を頼んだのに、この程度の仕上がりか」と落胆されることも「締め切りをちゃんと守ってほしいです」なんて思われることもなくなり、反対に対外的な信頼も守ることもできるようになるのです。

このように「デキる人」は上手にNOを伝えつつ、お互いに良質な関係を維持するコミュニケーション能力に長けています。

「あやふやなYES」よりも「明確なNO」を言う習慣を身につけましょう。そのほうが必ず快適でスマートな人間関係を維持することが可能となります。

ただのいい人は、「無理があること」を安請け合いして自分でストレスを抱えてしまいます。

仕事ができる人は、誰も傷つけない上手な「断り文句」を知っていて、「断ることが時間をつくるための唯一の方法」であることを理解しています。

潮凪 洋介(しおなぎ・ようすけ)
エッセイスト・講演家
早稲田大学社会科学部卒業。主な著書に、『もう「いい人」になるのはやめなさい!』『それでも「いい人」を続けますか?』(ともにKADOKAWA)、『「バカになれる男」の魅力』(三笠書房)、『「男の色気」のつくり方』(あさ出版)などがある。
(写真=iStock.com)
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