感情が動いた場面には、面白いドラマがある
質問の苦手な人は、“衣食住”に話を持っていくといいですよ。たとえば相手が東大卒だったとしましょう。そのときに、「東大=頭がいい」というそのままのイメージで返してしまうと、あっという間に会話が終わってしまいます。
そんなときは、ひとまず東大を「俯瞰」してみましょう。鳥になった気分で、東大を上空から見てみるのです。すると本郷という地名が浮かんできて、「本郷のあたりの美味しいお店」について聞けるわけです。特に「衣食住」の話は、みんな何かしらのこだわりがあって話しやすいテーマなのでオススメです。
もう1つ効果的なのが、相手が何か言ったことに対して、嬉しいとか苦しいとか感情が動いたような部分を質問してあげること。たとえば「高校時代に野球をしていた」と言われたら、「レギュラー発表のときって、どんな気持ちですか?」など、感情が動いたであろう場面を聞いてあげる。地方出身の人なら「上京するときに、駅で片道切符を買いましたよね。その瞬間って、どんな気持ちになりましたか」とか。感情の変化の裏には必ずドラマがあるんです。そこを掘り下げていくと、相手にとっての大切な記憶が思い出されたりする。こうした話は盛り上がるものです。
欠点や具体性のある、自己紹介は心に残る
パーティで困りがちなのが「自己紹介」ですが、これは真面目にやるか、ふざけるかのどちらかに振ったほうがいいでしょうね。ふざける際に一番いいのは“欠点”に触れること。髪が薄いなら「性格も頭も明るいです」みたいな感じです。
真面目にやるなら“具体性”が大事。僕だったら「サラリーマンNEOでセクスィー部長やってました」とか。自己紹介は、自分すごいぞとアピールをするためではなく、相手が話しかけやすくなる「きっかけ」を与えるためにするものです。「営業をやってます」だけだと情報がなさすぎて、かえって相手が話しかけにくくなってしまいます。かといって情報がたくさんありすぎても、相手が混乱して覚えてもらえなくなる。球は1つでいいので、具体的なものを与えるといいですよ。
NHKエンタープライズ制作本部番組開発エグゼクティブ・プロデューサー
1993年NHK入局。「サラリーマンNEO」の企画・演出、連続テレビ小説「あまちゃん」の演出を担当。公開番組できたえた前説に定評があり『「おもしろい人」の会話の公式』という著書も。監督を務める東映映画「探偵はBARにいる3」が12月1日に公開予定。