受信料の値下げを求める読売社説
12月7日付の読売新聞の社説は、後半でこう指摘している。
「NHKにとっては、受信料を徴収しやすくなる。徴収業務の経費を節減する余地も生じよう」
「受信料収入の増大で、NHKの肥大化が今以上に進まないか。経営効率化への取り組みが疎かになることも懸念される」
さらに駄目押しのように「NHKは、テレビ番組をインターネットで同時配信する新規事業を2019年度にもスタートさせる方針だ。4K・8Kなど、高画質放送の事業も手がけている」とも書く。
そして「事業を野放図に広げれば、民業圧迫につながる。事業拡大に突き進むのではなく、受信料の値下げを検討するのが先決だろう」と受信料の値下げを主張する。
受信料の値下げは視聴者にとってうれしい主張だろう。またNHKが力を持ち過ぎることで日本のメディア界に大きなひずみも生じかねないことを考えると妥当な主張だ。
最後に読売社説は「最高裁判決を契機に、公共放送としての在り方を虚心坦懐に見直してもらいたい」と東京や朝日と同様に公共放送のあり方を説いて筆を置いている。
全国に約900万ある未契約の世帯
最高裁の判断が受信料支払いの義務を原則的に認めたことで、お墨付きを与えられたNHKは今後、受信料の徴収を強化していくのか。残念ながら大上段にかぶって天下国家を論じたがる新聞各紙の社説は、この点に関して具体的には触れていない。
ただし、最高裁は一方的に支払いを迫るだけでなく、理解を求めて合意を得ることが大切だ、とNHKにくぎを刺している。またNHKには視聴者の「知る権利」に応える義務があるとも言及している。
それに全国に約900万ある未契約の世帯すべてをNHKが提訴していくのも非現実的であり得ないだろう。だからといって「受信料を支払わなくていい」ということにはならない。