▼利口者ばかりより、おバカがいたほうが成功するのはなぜ?
生物学者●長谷川英祐

使えない部下や同僚に頭を抱える人は多いかもしれません。デキる人だけでチームをつくればきっと成果が上がるだろうに……と考えたくなる気持ちはわかります。ところが、ある程度バカな個体がいるほうが組織としてはうまくいくという面白い研究があります。

広島大学の西森拓博士の研究グループは、最初にエサを見つけたアリのフェロモンを100%間違いなく追えるアリと、一定の確率で間違えて進んでしまううっかり者のアリをある割合で交ぜ、エサの持ち帰り率はどう変わるかを調べました。

すると完全に追尾するアリばかりがいる場合よりも、間違えるアリがある程度存在する場合のほうが、エサの持ち帰りの効率が上がったのです。

間違えるアリがいる場合は、最初のルートをショートカットするような効率のいいルートが発見されることがあるのです。今度は、そのうっかり者のフェロモンを追って、新ルートが使われます。効率ばかりを追い求める組織も、実は非効率であったりするのかもしれません。

加藤俊徳
医学博士。加藤プラチナクリニック院長。「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。1万人以上のMRI脳画像とともにその人の生き方を分析する。
 

諸富祥彦
心理学者。明治大学文学部教授。臨床心理士。千葉大学教育学部講師、助教授を経て現職。中高年を中心に仕事、子育て、家庭関係などの悩みに耳を傾けている。
 

長谷川英祐
生物学者。北海道大学大学院農学研究院准教授。大学時代から社会性昆虫を研究。著書にベストセラーとなった『働かないアリに意義がある』などがある。
 
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