兄弟2人なら共有で相続
おそらく、ほとんどの相続人である子どもは、古くなった建物を壊して敷地だけ売却するものと思われます。更地にしたほうが売却しやすいからです。なお、相続開始から解体までの間、家屋を貸し付けたり、居住用に使ったりすることはできません。
確定申告書には「被相続人居住用家屋等確認書」の添付が義務づけられています。これは、被相続人が1人で住んでいた家屋を取り壊したときから譲渡するまで誰も居住せず、空き地のままだったことなどを各市区町村長に確認してもらう書類です。
この確認書を申請する際には、所定の用紙に相続人が必要事項を記入して、使用状況がわかる写真と一緒に行政窓口へ提出しなければなりません。ただし、気をつけなければならないのは、解体から譲渡まで時系列に撮影した写真が複数枚必要だということです。売却後に気がついて写真を撮ろうにも、家が建っていると、特例を受けられなくなってしまいます。
ところで、この特例では兄と弟というように兄弟2人が半分ずつの共有持ち分で空き家と敷地を相続したとすると、適用要件を満たしていれば2人とも特例の対象になります。売却金額が9000万円で、売却費用などを除いた兄と弟の譲渡所得が4000万円ずつなら、それぞれ3000万円を控除できます。
土地の評価額が1億2000万円だった場合、そのままでは控除の対象にはなりません。共有で相続しても売却代金は1億円以内でなければならないからです。もちろん、一部を売却し、特例を受けることは可能ですが、このような場合はさらにいくつかの注意点があります。必ず専門家にご相談ください。
Answer:親が1人で住んでいて売却額1億円以下などなら適用
(構成=岡村繁雄 撮影=宇佐見利明)