決して年収は高くないのに、お金を貯められる人がいる。どこか違うのか。雑誌「プレジデント」(2017年2月13日号)の特集「金持ち夫婦の全ウラ技」より、人生の3大出費のひとつ「住宅」にまつわる知恵をご紹介しよう。第2回は「空き家特例」について――。(全12回)

相続した空き家物件を売りやすくなった

母親が1人で長年住んでいた東京の区内にある一軒家。2年前、それを相続したのだが、自分は別に住居があって、空き家のまま。築50年で外壁も傷み、近所の皆さんからは「幽霊屋敷」と呼ばれ始めている。でも、解体すると固定資産税が跳ね上がるため、そのままにしている。

そんな人にとって朗報となる税制が誕生しました。それが2016年4月1日から始まった「空き家にかかる譲渡所得の特別控除」の特例です。売却した場合、売却金額から概算取得費や譲渡費用を差し引いた譲渡益から、さらに3000万円の特別控除が認められます。その結果、譲渡所得に対する税金が安くなり、相続した空き家物件を売りやすくなったのです。ただし、その適用を受けるためには厳しい条件が課せられています。

まず、特別控除の対象となるには、被相続人である親が1人で住んでいなければならず、子どもが同居していると認められません。また、親が老人ホームに入っていた場合も適用外です。家の形態は戸建て、1981年5月31日以前に建てられた物件に限ります。

次に、物件は相続発生から3年後の年末までに売る必要があります。例えば、16年4月1日相続発生なら、19年12月31日までの間です。では、何年前の相続からOKかというと、16年中の売却なら13年1月2日からの相続ということになります。

売却金額が1億円以下ということにも要注意です。売却代金には、不動産売却の際に売り主と買い主の間で精算することが慣例になっている固定資産税を含むためです。売却金額が1億円をわずかでも超えてしまうと、この特例は受けられません。