ゆるかったからこそ3人の素顔や本音が分かる

香取慎吾
「これが新しいテレビの形なのか僕には今も分からない。でも楽しいことには間違いないな」
スポーツ報知 11月3日

これは「香取慎吾が朝までに絵を描く」というコーナーで香取がつぶやいた言葉。完成した絵には「アベマ最高」というタイトルがつけられた。

とにかく『72時間ホンネテレビ』は圧倒的にゆるかった。悪く言えばグダグダ。だが、だからこそ3人の素顔や本音を知ることができた。AbemaTVの編成制作本部制作局長の谷口達彦氏によると、『72時間ホンネテレビ』は、放送5日前までほとんど内容が固まっていなかったという。谷口氏は番組について「リアリティーショーのようなイメージ」と語っている(『AERA』11月13日号)。

カンニング竹山
「望んでいたテレビをやっていたの。『テレビでこんなことをやっていたら面白いだろうな』っていうことを」
TBSラジオ『たまむすび』11月6日

自身も『72時間ホンネテレビ』に出演していたカンニング竹山は、同番組のことを「望んでいたテレビ」と表現している。スポンサーや芸能事務所などに対して過剰に気を遣う地上波テレビは、もめ事が起こらないように丸く丸く収まっていき、その結果、「テレビは面白くない」と言われるようになってしまった。そこへ現れたのが、視聴者が見たいものを見せる『72時間ホンネテレビ』である。

番組の中でもっとも盛り上がったのは、3人が1996年にSMAPを脱退してオートレーサーに転身した森且行を訪ねた企画だ。画面の中では実に21年ぶりの再会となる。3時間にも及ぶフリートークでは、森の脱退のこと、恋愛のことなど、さまざまな話題が率直に語り合われた。まさにファンが「こんなことを見てみたい」と思っていた、そして地上波テレビでは決して実現しないマッチングだった。

藤田晋 AbemaTV・サイバーエージェント社長
「僕はこういう『しがらみ』や『忖度』というものに、非常に強い疑いを持っている。そこを正面突破すれば、鮮やかな仕事ができると思ったんです」
『AERA』11月13日号

では、『72時間ホンネテレビ』の企画はどのように生まれ、実現したのだろうか? AbemaTVの藤田晋社長は、インタビューで「発想としては誰もが思いつくものだと思うんですよ」と語っている。これまで一切インターネットに出ていなかった3人がネットで本音を語る。たしかに実にわかりやすいコンセプトだ。オファーは3人がジャニーズ事務所を退所した直後の9月上旬頃、藤田社長が自ら直接出向いて交渉を行った。番組の企画書すらなかったが、最初に会いに来たこともあってか、3人の出演はすんなり決まったという。