つぎに、介護離職のその後についてみていきたい。介護の必要度合いや期間の長さは、個々人によって異なるため、先がどうなるのかは予測しにくい。再度仕事に就きたいと思ったとしても、その状態と両立できる仕事を探さなければならないし、介護による離職の場合は、本人の年齢が40代を超えている場合が多いため、新しい仕事を見つけることがそもそも難しいと予想される。

離職後の一定期間での就業状況をみるために、すでに離職してから2年間が経過している、2012年から2014年の離職者に注目し、その期間内で、離職後につぎの仕事に就くまでのブランク期間を集計した(図表1)。介護による離職の特徴をみるために、ほかの離職理由によるブランク期間も、合わせて集計している。

ブランクが長く、時間が経過しても仕事に就いていない

まず、介護による離職は、「3カ月未満」で次の仕事に就く割合は16.3%であり、「妊娠・出産」(7.3%)、「結婚」(14.9%)に続いて低い方から3番目。1年が経過しても、3割(16.3%+4.4%+9.2%)しか仕事についていない。そして、2年経過した時点でも、働いていない割合が56.4%と高く、その割合は「妊娠・出産」(77.1%)、「結婚」(67.9%)、「定年」(63.6%)に続いて高いほうから4番目である。「育児・子育て」(50.9%)よりも高い。このように、介護による離職は、つぎの仕事に就くまでのブランクが長く、また、時間が経過しても仕事に就いていない割合が高い。

では、離職後2年以内に仕事に就いた人は、どのような働き方をしているのか。就業形態をみたところ(図表2)、介護により離職した場合は、正社員の割合が25.6%と低い。「独立」(14.5%)、「定年」(17.6%)、「妊娠・出産」(20.7%)に続いて、低いほうから4番目だ。

このように、介護を理由に離職した場合、その後のブランク期間が長いだけでなく、時間が経過しても、働いていない割合が高い。そして、仕事に就いたとしても、正社員ではない働き方をしている場合が多い。介護による離職者の多くを占める40代、50代は、転職や再就職がしづらい年代であること、介護と両立できる働き方の選択肢が、現状ではとても限られているということがわかる。

しかしながら、この年代層は住宅ローンや教育費といった生活費がまだまだかさむ時期にある。本来であれば、介護をしながら、安定して長く働き続けられる環境にいることを望むであろう。