「働き方改革」の必要性が叫ばれているが、現場では「休んでいては仕事が回らない」という声も聞く。実際はどうか。リクルートワークス研究所が2015年と16年の働き方を比較したところ、休日の減少や残業の増加など、中小企業を中心に業務負荷が高まっていることがわかった。「長時間労働をやめよ」と指示するだけでは、問題は解決しない――。

「日本の働き方」を可視化してみると……

政府の進める「働き方改革」は、現在どの程度進んでいるのか。リクルートワークス研究所では「働き方改革の進捗と評価」を通じて、「働き方改革実行計画」で挙げられている労働時間や副業などの重点テーマについてまとめた。

同時に重要なのは、働き方の実態をとらえることだ。現状、業務負荷がどれくらいであるか、仕事に対してどれだけ満足しているかといったことを、経年で見ていくことが必要だ。

リクルートワークス研究所では、日本の働き方を可視化する指標であるWorks Index (ワークス・インデックス)を開発し、2016年調査(2015年の働き方を振り返った結果)から定点観測をしている。個人が生き生きと働き続けられるために必要と考える5つの大項目(インデックス)を提示し、その大項目を構成する小項目(インディケーター)の変化を毎年見ることで、働き方の状態を把握することができる。100点が、理想的な状態を示す。今回は、ワークス・インデックスの結果から働き方の現在を見ていきたい。

若年層男性で仕事の負荷増大

2015年結果と2016年結果を比較し、変化が大きかった項目を見ていきたい。

ひとつは「仕事量や負荷が適切である」かを示すスコアであり、前年比0.9ポイント低下した。これは仕事量や負荷の状態が、前年よりも悪化したことを意味する。男女共にすべての年代で前年よりもスコアが低下したが、女性よりも男性で低く、とくに若年層(15~24歳)の男性で前年比マイナス3.3ポイントと低下幅が著しく大きい。若年層男性で、より「仕事量や負荷が前年よりも多くなっている」との結果が出た。

足元の有効求人倍率が正社員でも高い水準となっていることなどから、人手不足や採用難もあいまって、既存の従業員の担当する業務量が増加していることがうかがえる。