周辺雑務の多いホワイトカラー、手待ち時間の多いドライバー・営業
週労働時間をみると、ドライバー(トラック)54.9時間、ドライバー(タクシー・ハイヤー)49.9時間、建設施工管理・現場監督・工事監理者49.9時間、土木施工管理・現場監督・工事監理者48.2時間、店長47.9時間の順で長い。労働時間規制の適用除外や特例措置の対象となる職種も含まれており、適切な労務管理、自律的な働き方が求められる。
本来業務時間の割合が高いのは、建設作業者(土木作業員)85.8%、金属の製造・生産工程・修理作業者83.2%などの現業職や、開発職(ソフトウェア関連職)81.4%、プログラマ81.0%などのIT系エンジニアである。工期・納期を見据えて、細分化されたタスクに注力している姿が想像できる。
周辺雑務の割合をみると、秘書30.4%、保険営業30.4%、法務23.9%、銀行営業22.8%の順で高く、ホワイトカラーの職種が並ぶ。ホワイトカラーには、本来業務だけでなく、その周辺にある多種多様な仕事に臨機応変に対処することも期待されているのだろう。
手待ち時間は、ドライバー(タクシー・ハイヤー)32.0%、医薬品営業21.1%、ドライバー(バス)17.5%、理容師・美容師16.4%、保険営業15.1%、不動産営業13.9%、宿泊施設接客12.9%の順で高い。顧客の都合を優先し、待機・準備する職種が並ぶ。
このように、本来業務、周辺雑務、手待ち時間に着目すると、労働時間が長くなる理由がそれぞれの職種によって異なることが推察される。さらに、働き方の自律性や仕事量なども考慮したところ、労働時間削減の5つのパターンが浮き彫りになった。
パターン(1):業界全体で足並みをそろえる
業界内の過剰競争があり、ときにそれが顧客の要望と乖離している場合には(たとえば、納品スピードや営業時間など)、業界全体で足並みをそろえて改善することが求められる。
ドライバー(トラック)は、手待ち時間が約1割あり、有給休暇が取りにくく、勤務時間を自由に選びにくい。積み荷に合わせて人をシフトさせている現状がある。人の働き方に合わせて積み荷を引き受けるなど、顧客の理解を促しながら、受発注や業務フローを変革して、ドライバーの自律性を高めることが望ましい。