よりよく生きるということは、自分がどういうふうにありたいのかをいつも考え、主体的に選択し続けること。隠居を始めてから、そんなふうに思うようになりました。それは、もし失敗しても親や社会のせいにはできないし、全部自分の責任だし、怖いことでもあります。それでも、自分で選びとった毎日というのは、何物にも代えがたいものです。
以下、私が毎日をよりよく生きるために気をつけていることを紹介します。
(1)年収目標を持たない
私は年収100万円以下で5年間過ごしていましたが、それを目指していたわけではありません。自分が必要ないと思うものをひとつずつ捨て、快適だと思うものを選んでいったら、結果として年収100万円以下で小さく生活できるようになってしまいました。
目標を立てると迷わない、という利点はありますが、それしか見えなくなってしまう可能性も。私は年収に限らず、将来の目標がまったくなく、こだわりもありませんでした。だから想像もしなかった方向へ事態が転がっていくことを楽しめて、結果、隠居という生活にたどり着けたのだと思っています。
(2)自分にとっての幸せを見極める
正直、自分の生活がこれでいいのかなぁ、と思うことも、なくはないです。そんなときは、何が自分にとっての幸せなのかを確認することにしています。
私の場合は、毎日息が吸えて、痛いところがなくて、お茶を飲みながら読書できたら幸せ。それを実現するために最低限だけ働くのは厭(いと)わない。
上京したばかりで、贅沢しているわけでもないのに生活のために休みなく働いていた頃を思うと、これが幸せじゃないなら何が幸せなんだろう、という感じです。
(3)これがベストだと思わない
私は自分の生活スタイルを、ベストだとは思いません。自分が好きで納得してそれを選んだだけなので、良い悪いの判断はナンセンス。だから他人に押し付けたり薦めたり、という気も起こりません。「やってみたらできましたよ」と、ただ紹介してるだけのような感じです。
私も、もし働くのが好きだったら会社員として週5日でも働くと思います。結果がベストかどうかよりも、自分の意志でそれを選んだということのほうが大切です。
私は現在は隠居をしていますが、いつかやめたくなる時がくるかもしれない。スタイルだけが先行して、流行や常識に流されてしまったり、自分がそのときやりたいことを見逃してしまったりしないように、緊張感をもって生きていきたいと思います。