今度はデメリットをあげてみます。

(1)時間がありあまる

隠居生活はとにかくヒマです。来る日も来る日もやるべきことがひとつもなく、誰かが指示してくれるわけでもない。でも自分で作っていくしかありません。

創造力を使い倒して、白紙の1日をどんなふうに過ごそうかと考えるのは、私にとってはワクワクすることです。しかし、そのような「ヒマ耐性」がないと、かなりつらいと思います。

(2)将来の保証がない

お金がないと保険にも入れませんし、老後の蓄えもない。病気や事故にあったときのことを考えると、心配性の人には向かないかもしれません。

私は不安や心配はキリがないし、あまり遠くを見すぎないようにして、いざとなったらあきらめようと割り切っています。

とはいえ隠居をしていると、ヒントに気がつくこともあります。将来のことを考えてもらちがあかないので、今日この1日を生きることに集中するしかない。すると、死ぬということがただそれだけのこととして、ストンと腑に落ちることがある。なぜ死ぬことがそんなにいけないと思っていたのか。よく考えたらみんないつか死ぬんだし、良い悪いというものではないな、死なないように必死になることもないか、という感じです。

(3)贅沢ができない

お金がないなら時間を使えばいいとはいえ、時間とは引き換えられない贅沢もあります。高級レストランやホテル、ブランド品、パーティー、旅行、ジムやエステ、習い事などは、ほぼ諦めることになります。

ただ、こうしたことから離れていると、贅沢にもいろいろな種類があることに気がつきます。たしかにお金はないのですが、会いたくない人に会わなくていい、行きたくないところに行かなくていい、やりたくないことをやらなくていい。そういった生活はある意味、ものすごく贅沢なことなんじゃないか、とも思います。