いいとこ取りの合意などできるはずない
イギリスがEU離脱、ブレグジット(Brexitは「Britain」と「Exit」を掛け合わせた造語)を選択した国民投票(昨年6月23日)から1年近くが経過する。離脱の手順についてはEUの基本条約であるリスボン条約の50条に規定されている。当該国が離脱をEU理事会に通告することで手続きが始まり、離脱国とEUで脱退協定締結のための協議を行う。脱退協定が締結された場合、協定発効をもって離脱国にEU法は適用されなくなる。それまでは加盟国としての権利・義務は残る。交渉が難航して脱退協定が締結できなければ、離脱通告から2年でEU法が適用されなくなる。ただし、すべての加盟国が同意すれば、この期間は延長できる。これに準拠してイギリスのメイ首相はEUのドナルド・トゥスク議長にブレグジットを正式通告した。先の3月29日のことだ。ここから2年のうちに離脱交渉がまとまれば円満離脱、まとまらなければ自動的にイギリスはEUから切り離される。人もモノも金も自由に行き来できなくなり、輸出入には関税もかかる。EU域内だけではなく、EUとして貿易協定を結んで無関税や低関税で交易している相手国との関係も切れる。
そもそもブレグジットとなれば、イギリスはすべての貿易相手国と一から交易条件を話し合わなければならない。
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