以上のことは何を示すのだろうか。第1に、もはや「戦争」の定義が溶解していることだ。確かにオバマ前大統領は「非戦」の大統領だったのかもしれない。しかしながら、それは「国家間戦争」であり、実のところ、「無人機による戦争」の道を本格化し、おびただしい死傷者を生み出した。反米意識を高揚させ、テロを誘発する悪循環に導いただけとも言える。

第2に、政策決定者なるものが、言葉と行動と思考のトリレンマに陥りがちだということである。

要するに、言行一致の政治家は本心ではない。思考と発言が一致している政治家は、口先だけで行動がついてきていない。行動と考えが一致している政治家は口では嘘ばかりついている。

ひどい場合は、言っていること、やっていること、考えていることのすべてがちぐはぐだ。オバマ前大統領の美しいレトリックと陰惨な大量の死体の山はそれを物語っているのである。

第3に、オバマの美しいレトリックを見て、「平和の使徒」であるかのように称賛する一方、トランプ新大統領の荒々しく激しいレトリックを見て「破壊の魔王」とするのは間違いの可能性が高いということだ。

オバマはブッシュ元大統領を遥かに上回る暗殺作戦を実施し、民間人を含む死体の山を築き上げた。他方、トランプが無人機作戦を継続するかどうかは不明であるし、仮に乱用しても、それはオバマがつくり上げた法的根拠と軍事態勢とシステムに基づくものであり、オバマの責任は変わらないからだ。

オバマ前大統領は無人機戦争の育ての親であり、大量の爆弾を世界でばら撒いた大統領だったのである。

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(時事通信フォト=写真)