「仕事にやる気が出ない」「もっと頑張らなくては」──。こんな悩みを抱えている人は多いのでは。今大ブームのアドラー心理学は、無理に頑張らなくても、自分のやる気を引き出せる方法を教えている。やる気をなくしてしまった7つの症状別に「やる気が湧く行動習慣」を紹介していく。

(2)集中力分散型

実はあなどれない時間割の効用

やるべきことが山積しているのはわかっていても、気が散って一つの仕事に集中できない――。そんな人は実はやる気がある証拠だ。全方位的にやる気が溢れてしまっているために収拾がつかなくなっているだけで、少し交通整理をしてあげれば、ハイパフォーマーになれる可能性を秘めている。ポジティブに捉えよう。

こうした人には、メンタルコーチとして活躍する平本あきお氏がいうように、まず気になることをすべて付箋に書き出そう(参照記事:http://president.jp/articles/-/21109)。仕事でもプライベートでも、最初の段階では分類不要。少しでも気になっていることを書き出してみる。すると、思いのほか数が少ないことに気づくはず。「多くの人は、頭の中で、あれもこれもやらなきゃ! と思っているだけで、紙に書いて可視化してみると案外少ないもの」だという。見えていないことで混乱しているだけなのだ。

いったんすべて書き出したら、そこで初めて分類してみる。「◯◯さんにメールしなきゃ」「部長への報告がまだだった」といったことも、要は「Aプロジェクトの進捗確認」と括れることもある。すると、「明日までにやることが20個もある」と焦っていたのが、実は「まとめてみると、案件数としては3つだな」と気づく。こうして「今日すぐに片付けるべきこと」がスッキリ整理されれば、自ずとやる気が湧いてくる。見えないものにやる気が湧かないのは当然なのだ。

いったん落ち着いて仕事に集中し始めたとしても、次から次へと、「あ、そうだ。あれもやらなきゃ」と瞬く間に混沌としてしまうのが集中力分散型の特徴。だが、心配しなくていい。そんな人は、「今はこれをやる」と半ば機械的に強制させる仕組みを使おう。「時間割」だ。

子供は大人よりはるかに気が散りやすい。勉強より遊びたいのは当たり前。それでも毎日一定の勉強をこなすことで学力を育めるのは、時間割という強制装置のおかげだ。

どんな職種のビジネスパーソンでも、毎日確認すべきことや週の後半に発生しがちな業務など、仕事の流れにはある程度のパターンがあるはず。そうした「ルーティン化」しやすい業務をあらかじめ組み込んだ時間割をつくろう。たとえば「木曜日の午前中は翌週のアポイントを整理」などと決めておけば、木曜に出社したとき、何から手をつけようかそわそわする必要がなくなる。集中力分散型にとっては、ルーティンをいかに習慣化するかがカギとなる。