新入社員との無駄な摩擦を避けるために

ただ、面接の段階で、対照的な姿勢や仕事のスタイルによって生じる摩擦を見つけるのは、時期尚早のこともある。シカゴの電力供給会社エクセロンの上級副社長兼最高管理責任者であるゲーリー・スノッドグラスが会議や報告書のガイドラインのリストを作成したのはこのためだ。彼は大局的な見地に立つ経営者であり、部下があまりに瑣末な話をすることを嫌う。そこで、新入社員のプレゼンテーションや書類がそうならないよう、あらかじめこのリストを彼らに渡し、皆がフラストレーションに陥らないですむようにした。

「これまで勤めてきた会社では、経営幹部よりわずかに劣っているクローンが雇われていた。彼らは、経営者には挑むこともなさそうな輩だった」と、ニューヨーク州ウォーウィックに本拠をおくオーディオ・ビデオ製作会社ボーン・ワン・スタジオのCEOクリスティン・リーガンは言う。

「これでは、会社はいつまでも進歩がない。今日の超競争的ビジネス環境にあって、1番大切なのは、完璧な業務遂行だ。それはジャズ・バンドになぞらえることができる。メンバー1人ひとりが各自最も得意なところでソロをとって貢献し、そして皆で即興的に伴奏するリフに戻るというように、チームのメンバーが互いに他のメンバーの長所と短所に対応していく」

※参考文献
『What Management Is: How It Works and Why It's Everyone's Business』by Joan Magretta, with Nan Stone(Free Press, 2002)
『When Sparks Fly: Igniting Creativity In Groups』by Dorothy Leonard and Walter Swap(Harvard Business School Press, 1999)
『The Set-Up-to-Fail Syndrome: How Good Managers Cause Great People to Fall』by Jean-Francois Manzoni and Jean-Louis Barsoux(Harvard Business School Press, 2002)

(翻訳=ディプロマット)