一発逆転よりも、大きな失敗をしないこと

――今年で13年目を迎えられました。

【田中】農業を産業化したいという思いがあるので、10年経ってやっとスタートラインに立てたなと。これからまた次の時代に向かって、やりたいことに挑戦していける。今はそんな状況だと思います。

――今後仕掛けていくなかで、やはり「人」が強みになっていくわけですね。

【田中】仕掛けていく、というと語弊がありますね。それほど積極的な拡大志向は持っていません(笑)。どちらかと言えば、100回に1回成功することよりも、1万回、10万回やっても失敗しない決断を選んできた結果、今があると思っています。

僕は周りが思う以上に小心者で、失敗しないことしか考えてないですよ。やはり零細企業ですから、1回の失敗ですべてが終わってしまうことだってある。その1回の大きな失敗をしないために、小さな挑戦と小さな失敗をくり返して、うまくいく方法を探っているんです。

――背伸びや冒険はやらず、高い打率を狙うと?

【田中】そのとおりです。大きな失敗をするかどうかは、自分たちの能力や強み云々よりも、社会的要請という大きな流れやトレンドに乗っているかどうかだと思います。社会が要請するところにはニーズがあります。それに沿って投資をすれば、余程のことがない限り失敗しません。社会の要請に対して、マーケティングや生産管理ノウハウを含めて実行できる人がいるか、野菜をきちんとつくれる要素が揃っているか、あとは自分たちの取り組みがそれほど無茶じゃないか。そういうことを考えながらやっているつもりでいます。