変幻自在のグローバルな競争相手と戦っていくためには、堅固な階層構造と融通のきかないプロセス、終身雇用の社員を持つ旧式の企業は、どのように変わるべきでしょうか。
パウロ・ミゲル(ブラジル、サンパウロ)
おそらくあなたの会社はグローバルな競争相手にまだ完全に包囲されているわけではないのでしょうね。あなたは慌てふためいておられるようには見えませんから。「戦争」がまだ実際に起きていないのですから、変化を起こすのは、会社が苦難に陥っている場合よりはるかに難しいでしょう。
グローバル競争のために必要なまったく新しいタイプの組織変革は、人々がその必要性を心底、確信しないかぎり、まず起きません。
危機がなければ、人間はどれほど現状に安住することか。実際、あなたの会社のような官僚主義的な組織はぬるま湯のように心地よく、社員はけっしてそこから出ようとしません。ましてや冷たい水に飛び込みたいという欲求は、少しも持っていないでしょう。
グローバルに競争できる組織は、フラットで、迅速で、透明性が高くなければなりません。非公式の率直なコミュニケーションが欠かせません。社員は会社の内外で絶えずベスト・プラクティスを探し求めるべし、という考え方が、絶対的な必要条件です。
社員は飛び込もうとしないのですから、背中を押してやる必要があります。つまり、変化を起こそうとしているリーダーは、変化の必要性を訴える主張を展開する必要があり、その主張を聞く者が自分のこととしてとらえるように持っていかなくてはなりません。
ですから、勇気を出して、事細かに説明してください。業界の動き、利幅、新技術、政治動向など、あらゆることについての集められるかぎりのデータを使って、変化しなければどうなるか、そして、変化したらどうなるかという2つの生々しいシナリオを描き出してください。工場の閉鎖を国内外での成長の機会と、雇用の喪失をより興味深い仕事と、横ばいか減少になる賃金を全社員の収入の増加と、それぞれ対比させてください。
変化の必要性を何度も何度も訴えてください。厳しいメッセージは1度や2度では信じない、もしくは理解しないのが人間です。ですから、あなたは自分の主張をいやになるほど繰り返す必要があるでしょう。あなたの主張が十分に説得力のあるものなら、人々はやがては行動を変えるはずです。それを公の場で褒めたたえるようにすれば、人々の行動はさらに速く変化し、変化を示した人々に見返りを与えれば、もっと速く変化するでしょう。
変化を推進するあなたの活動の助けになる行動が、ほかに2つあります。第1に、変化が必要だという主張を全面的に受け入れており、ほかの人々にそれを広める活動を行う人々だけを採用、昇進させるようにしてください。
第2に、抵抗者をうまくやめさせる方向で動いてください。抵抗者のなかには、すばらしい仕事をする人もいるでしょうが、彼らはどこかほかのところで働くべきなのです。つまり、グローバル競争に参加していない、取り残された少数の企業のどこかで。