なぜ、老眼/スマホ老眼になるのか?

老眼とスマホ老眼に共通しているのは、目のピント調節能力に異常が生じているという点です。目は、毛様体筋が水晶体(レンズ)の厚みを変えることでピントを合わせています。毛様体筋が弛緩すると水晶体の厚みが薄くなり、遠くにピントが合います。毛様体筋が収縮すると水晶体が厚みを増し、手元にピントが合うという仕組みです。

ラグビーボール状のゴムボールの両端に、両手で圧力をかけた状態をイメージしてください。丸く押しつぶすには、両腕に力を入れる必要があります。近くを見続けるというのは、両腕に力を入れ続けるのと同じ状態と言えます。

毛様体筋が疲れて力が出なくなると、ピントを合わせられなくなり、手元が見づらくなります。その結果、頭痛や肩こりなどの不調も生じます。

スマホ老眼は、近くでスマートフォンやパソコンを見続けるなど、手元を見る作業を続けることによる毛様体筋の酷使や、光による障害で起こります。腰を長時間曲げていると一時的に動かしにくくなるようなものなので、十分な休養や対処法を取れば改善されます。

一方で、老眼は年齢(加齢)が主な原因です。毛様体筋自体の機能低下に加え、水晶体自体も硬くなってしまうのです。このため(軽度の場合を除き)休息してもピント調節能力は回復しません。

ただし、年齢からくる老眼に加えて、手元を見過ぎることによるスマホ老眼も加わっている複合的なケースもあります。この場合、十分な休息によりスマホ老眼で生じた問題は解決することがあります。

「基本的に、人間の目は遠くを見るようにできているんです。安静時のピントは1メートルくらいのところに合うのが普通です。過去何万年もの間、人間は外に出て活動しており、手元を見るのは食事のときとか一時的にしかなかった。現代人のように長時間手元を見る必要が出てきたのはごく最近のことです。もともとは遠くを見るようにできているので、手元を見る作業をずっと続けていると、その筋肉が固まってしまうわけです。

ただ、おかしいと思って病院で検査をしても、老眼なのかスマホ老眼なのかを明確に区別することはできません。いろんな対処をしてみて治らないと分かったとき(一時的なものではないと分かるので)、加齢による老眼だと判断できますが、もうブレンドされている問題なんですね。原因の中でスマートフォンなどの要素が大きいものを『スマホ老眼』と呼んでいますが、医学的な用語ではありません」