視野が欠けていく病気、緑内障。ストレス、糖尿病等が原因でなりやすく、手術後も視界は戻りません。早期発見や予防について聞きました。

日本人の失明原因第1位「緑内障」

最近、人や物にぶつかりやすくなった、たとえば駅の人混みでぶつかりやすくなったとか、車をこすりやすくなったという経験はないでしょうか。もしそうだとしたら、あなたの視野が欠けているせいかもしれません。つまり「緑内障」の可能性があります。緑内障とは、眼圧等によって神経にダメージが加わり視野が欠けて失明する病気です。

「緑内障は、40歳以上の20人に1人、70歳以上で10人に1人がなっている病気なんですが、日本人の失明原因第1位の病気です。白内障と違って、視力はほとんど変わりません。視力は1.0とかちゃんと見えているのに、視野だけが欠け、見える範囲が狭くなっていくんです。ただ、人間は視野が欠けていても両目があるので補ってしまうんですね。脳がある程度補正して、見えているように錯覚するんです。

たとえば盲点という言葉がありますが、左手の指を1本立てて、左目をつぶって、右目だけで指の爪先を見てください。距離によって爪先が消えるところがあります。でも普通に見えているような気がしませんか。これは脳が見えているかのように情報を補っているんです。これと同じで、緑内障は、視野が半分くらい欠損していても気づきません。気づいたときはだいたい手遅れです。実感がなく、見えないと気づいたときはそれなりに進行していて、悪くなってからは治療できない。白内障同様、発症しても進行を止めることしかできません。だから失明を引き起こす病気第1位が緑内障なんです。しかし、緑内障になったら必ず失明するというわけではありません。きちんと治療しないと失明する病気ということです」 (彩の国東大宮メディカルセンター平松類医師)

左目をつぶり、右目で左にある●を見る。画面から顔を近づけたり話したりして、見えなくなったところが「盲点」(『緑内障の最新治療』より引用)