「お金持ちはケチだ!」という言う人の心理を分析すると

「お金持ちはケチだ!」

こんなセリフを一度は聞いたことはないでしょうか。私も小さい頃に、この言葉を親に吹き込まれたような気がします。いま思えば、「だから何?」と思いますが、うちの親の場合はおそらくお金持ちに対するやっかみも多分に含み、負け惜しみをいうかのように発していたように思います。

ファイナンシャルプランナー(FP)として活動していて、この言葉に違和感を持つようになりました。本当にそうなのだろうか、と。中にはそういう人もいるかもしれません。でも、やはり本質ではないと思うのです。

お金持ちはケチだ、の背景には、こうした感情がないでしょうか。

「○○さんはお金を持っているのに、買わない」。そして、「ケチでお金を使わないから、貯まる。だからお金持ちになんだ」と。

例えば、特別高級車でもない車にもう何年も乗っているお金持ちがいるとしましょう。傍から見ると、なぜ新しい車を買わないのかが不思議なくらい。周りからは「お金があるんだから、新しい車を買えばいいのに」と思われます。いつしか「お金を十分に持っているにもかかわらず、(新しい車を)買わない」となり、結果、「だからお金持ちはケチだ」とつながっていく気がします。いかがでしょうか。

この考えには2つの価値観が交差しているのがおわかりになるでしょうか。ポイントになるのは、古い車を乗り続けている本人の価値観と、周りの価値観の違いです。

仮に、本人が十分すぎるお金を持っているにもかかわらず、「お金を使いたくないから」という理由で古い車に無理して乗り続けているとしたら、ビンゴ。やはりケチなのでしょう。でもそれは、あくまで周りの人の「推測」です。

そうではなく、本人は特に車に興味はなく、「走ればいい」という価値観があって、それで乗り続けているとしたら、ケチといえるでしょうか。あるいは、周りには古臭い車に見えても、本人には思い出のある貴重な一台を乗り続けているということもあるかもしれません。

いずれにしても、ただ本人の考え方に沿った行動をしているだけだとしたら、それをケチと言い切ってしまうのは誤りです。ケチなのではなく、単に本人のやり方です。つまり、「ケチ」と言っているのは、あくまで周りの人間であって、周りの人間の価値観によって、勝手にケチと判断しているだけです。