兼田家の家計簿改善 BEFORE⇒AFTER [年収:880万円]
家族構成●夫(53歳・地方公務員)、妻(51歳・生花店パート)
年収●額面=880万円/手取り=714万円
ボーナス●(夫のみ)夏=69万円/冬=69万円 相談時の貯蓄額●80万円
地方公務員として働く夫の収入に妻のパート収入を合わせると、額面の年収は880万円。年齢は50代。子供がいないので教育費はかからなかった。なのに兼田さんの貯蓄は80万円と、“ほぼゼロ”の状態。
じつは兼田さん、自分の手取り月給42万円のうち25万円を妻に渡し、妻はそれと自分のパート収入6万円で家計をやり繰りしていた。そして夫は「きちんと貯金するように」と指示していた。
柔和そうに見える夫だが、おっとり妻の目には「超亭主関白」に映っていた。そもそも、夫の給料の額さえ知らされていない。次第に強い“ストレス”を感じ、心身ともに疲労していったのだという。
だが、そのストレスを緩和すべく、自分の“メンテナンス”に走ったことが貯蓄できない要因だった。「医療費」としてマッサージやカウンセリング、「教育費」としてアロマ教室やピラティス、「交際費」として友人とのランチや飲み会、「娯楽費」として舞台鑑賞など。「主人だって隠している給料で散財しているに違いない」との思いもあった。貯蓄などできるわけがない。そのことがまた、ストレスになった。
では、夫は妻に渡さない17万円を何に使ったのか。じつは「住宅ローン」10万円、「生命保険料」2万2000円などを支払っており、自由に使うお金はさほどでもなかったのである。
とにかく、夫の収入をすべて家計に入れる形で、抜本的な見直しを行った。ただ、妻のメンテナンス習慣は簡単におさまりそうにない。そこで「回数を減らす」という中間策を提案したところ、月12万円を超える貯蓄ができるようになった。当初の夫の指示を実現できたことで、妻に自信が芽生え始めている。
マイエフピー代表取締役社長。「消費」「浪費」「投資」で仕分ける家計管理の考え方が大反響を呼び、庶民派ファイナンシャルプランナーとして、9000件以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、『「貧乏老後」に泣く人、「安心老後」で笑う人』などベストセラー多数。