収入が低いわけじゃないのに、気付いたら毎月赤字家計。老後に備えた貯蓄どころじゃない──。家計再生コンサルタントの横山光昭氏がそんな家計の改善プランを提案。

結城家の家計簿改善 BEFORE⇒AFTER [年収:750万円]
家族構成●夫(52歳・繊維商社勤務)、妻(51歳・専業主婦)、別居の長男(25歳)
年収●額面=754万円/手取り=603万円
ボーナス●夏=40万円/冬=40万円 相談時の貯蓄額●500万円

大切な一人息子は一浪したものの、就職に強いと評判の有名国立大理系学部を卒業し、就職して独立した。結城さん夫妻は50代に入ったばかり。年収が特別高いわけではないものの、後は老後資金を貯めるだけ。思い描いていたライフプランを実現できそうだった。

ところが、その息子が頻繁に実家に戻り金の無心をする。困ったことに、就職先はいわゆるブラック企業だったのだ。システムエンジニアとして長時間労働を強いられるわりには給料が安かった。

親としては、最初の頃は気の毒に思い、求められるがままに応じた。息子は住民票を移転させていなかったため、住民税や車の保険料などの払込票が届く。すると息子を責めるでもなく、黙って代わりに支払った。携帯電話の引き落とし口座などは学生時代に親の口座にしておいたまま。週末に帰ってくれば、1週間分のおかずを持たせた。一緒に買い物に行けば、日用品も買ってあげた。

お金の求め方も巧妙で「2000円だけ足りない」などと少額ずつ要求するから、「それくらいなら」と渡す。使い道はといえば、自分の趣味や酒・ビールなどの嗜好品、交際費など。

さすがに結城さん夫妻も「負担が大きすぎる」「このままではいけない」と感じ始め、家計相談に訪れたというわけだ。そこで、息子の援助を無計画に行わないことを提案。具体的には「1年後まで」という期限を区切り、「月5万円」という上限を設けて仕送りする形にした。

たったそれだけで、月9万円ほどの黒字家計になったのだから驚きだ。5万円の援助金も打ち切ればさらにその額が増えるのだが、過保護気味な結城さんにそれができるかどうか、そこが問題だ。

家計再生コンサルタント 横山光昭
マイエフピー代表取締役社長。「消費」「浪費」「投資」で仕分ける家計管理の考え方が大反響を呼び、庶民派ファイナンシャルプランナーとして、9000件以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズ、『「貧乏老後」に泣く人、「安心老後」で笑う人』などベストセラー多数。
(小澤啓司=構成)
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