年収1500万円超えでも、貯金は50代でたったの280万円。散財する妻と家計に無関心な夫。老後のためにも、傾いた家計をどう巻き返すか。──。家計再生コンサルタントの横山光昭氏が改善プランを提案する。

新居田家の家計簿改善 BEFORE⇒AFTER [年収:1550万円]
家族構成●夫(52歳・空調設備会社経営)、妻(55歳・専業主婦)、子供2人は独立
年収●額面=1550万円/手取り=1244万円
ボーナス●夏=94万円/冬=94万円 相談時の貯蓄額●280万円 

会社を経営する夫は1500万円を超える年収があるのに、50代で貯蓄が280万円。少なすぎる。毎月88万円ある収入はすべて使い切り、それどころか赤字になることもしばしば。じつは新居田家の散財の元凶は妻だった。

ところが妻に聞くと「私は家事も頑張っているし、贅沢もしていないの」という。しかし、どう見ても上等な装いだ。いわゆる“老舗”とされる店でしか買い物をしないらしい。「信頼できるものしか怖くて買えない」という“本物志向”が強いようだ。

また「料理を作るのは大好き」とのことで、「家事を頑張っている」という言葉自体に嘘はなさそう。でも、最初の相談時の「食費」8万5000円は、ほぼ妻の分だけ。つまり厳選された食材、フルーツなど、ここでも本物志向を発揮していたのだ。

さらに、「教育費」に含まれるのは、フラワーアレンジメント教室代、料理教室代、ジム代などすべて妻のものばかり。そして妻が、そこで知り合った先生や友人の発表会や展示会にかかるお金(お祝いなど)は「娯楽費」に計上され、食事会のお金は「交際費」に、そしてタクシーで帰れば「交通費」に計上された。

つまり実態としては、家計からどんどんと妻の小遣いが引き出されていた形だ。

一方、夫は家計に無関心な仕事人間。月7万円の小遣いの範囲内でやり繰りしてきた。それどころか、妻がその小遣いの一部を使い込むことさえ常習化。こうした夫の家計への無関心さも、妻を野放しにする要因だった。

そんな新居田さんが家計相談に来たのは、さすがに貯蓄の少なさが気がかりだったから。しかし、削りどころ満載の家計簿を前にしても、一向にどうすればいいのかがわからない様子。つまり、一般には「浪費」と捉えられるものを、生活に必要な「消費」と考えていたからだろう。

そこで、対策を考えたいところだが、年収1500万円の人に対し、「年収500万の方のような生活をすればすぐにお金が貯まります」といっても実行するのは難しい。